空自「ファントムII」のカラフル名物マーク 実は「二代目」!? “幻のオジロワシ”が消えたワケ

ファントムIIの「オジロワシ」が尾を振った!

 こうした苦労があって誕生した「色鮮やかな巨大オジロワシ」の部隊マーク。実際にF-4EJ「ファントムII」に塗装されたとき、デザインを担当した山本氏はどんな感想を抱いたのでしょうか。

「オジロワシのマークは、尾の部分が垂直尾翼の一番後ろ、ラダーの可動翼部分に描かれています。F-4が地上滑走をするとき、ステアリング操作でラダーペダルを踏むとラダーの可動翼も動くのですが、その時にオジロワシが尾を振っているみたいに見えて感動したのを覚えています」

 1974年に発足した第302飛行隊はF-4EJとその改良型であるF-4EJ改を運用し続け、2019年までの45年間を「ファントムII」飛行隊として活動しました。その間、同部隊のF-4にはこの大きなオジロワシのマークがずっと描かれ続けたのです。

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創隊50周年を記念して制作されたF-35「ライトニングII」の記念塗装機。通常塗装ではロービジで小さくなったオジロワシのマークが、大きくフルカラーで再現されている(布留川 司撮影)。

 その後、2019年にF-35の飛行隊として生まれ変わると、装備機種がステルス戦闘機になったことで、部隊マークは小さくなるとともに鮮やかな色合いもグレー系のロービジ(低視認)仕様へと変わってしまいました。

 ただ、2024年に50周年を迎えた飛行隊では、それに合わせて期間限定の記念塗装機を作成し、かつてのカラフルなオジロワシを復活させました。往年のF-4「ファントムII」をほうふつとさせる機体は式典会場に展示され、山本氏をはじめとする歴代OBたちに披露されています。

 OBのほとんどはF-4時代に飛行隊に所属していたパイロットや隊員たちで、F-35はまったく未知の存在でした。しかし、その垂直尾翼には見慣れたオジロワシのマークが受け継がれていたことに、飛行隊の伝統と歴史がしっかりと受け継がれていることを実感しているようでした。

【了】

【別モノじゃん…】これが短命で終わった「幻」のオジロワシマークです(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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