空自「ファントムII」のカラフル名物マーク 実は「二代目」!? “幻のオジロワシ”が消えたワケ

水墨画風だった? 幻のデザイン

 そもそも、第302飛行隊は北海道の千歳基地で1974年に新編されています。運用するF-4EJ「ファントムII」は当時最新鋭の機体であり、それを運用する部隊は300番台のナンバーが付与されたまったく新しい飛行隊が用意されることになっていました。

 このような流れから第302飛行隊は、F-4EJを装備する2番目の飛行隊として生まれたのです。ただ、新編部隊ゆえに最初はシンボルとなる部隊マークがなく、それらも新しく作る必要がありました。初代隊長の意向で、マークは地元北海道に生息するオジロワシをモチーフにすることこそ決まったものの、それをどう意匠化するかは飛行隊の隊員たちの腕にかかっています。

 結果、隊員からデザイン案を公募することになり、最初に選ばれたのが、筆絵風のタッチで書かれたオジロワシのデザインでした。現在のマークと比べると写実的にオジロワシをそのままイラスト化したようなデザインになっており、使われている色も水墨画のような黒一色です。一応、このマークは試験的にF-4EJの垂直尾翼にも描かれたものの、正式に採用されることはありませんでした。

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第302飛行隊の創隊50周年行事に参加した山本忠夫氏。飛行隊のオジロワシのマークの考案者(布留川 司撮影)。

 こうして、いわば幻で終わった「オジロワシマーク」について、前出の山本忠夫氏は次のように回想しています。

「最初のデザインは私の先輩が作ったもので、とてもよいデザインだと思います。ただ、ファントムの垂直尾翼は非常に大きいため、そこに実際に描いてみるとインパクトがなくて不評でした。そこで新しいデザインを隊内でまた募集することになりました」

 山本氏はもともと絵を描くのが趣味だったそうで、新しい部隊マークをデザインして応募。これが現在のオジロワシマークの原点となりました。

【別モノじゃん…】これが短命で終わった「幻」のオジロワシマークです(写真)

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