「JR四国イチの赤字線」ポテンシャルありまくり!? 楽しすぎる列車たちとの“出会い” 「いっそ高知まで直通しては」
予土線の若井~北宇和島間は2023年度の平均通過人員が260人/日と、JR四国で最も輸送人員が少ない路線です。しかし風光明媚な風景や「Yodosen FunFun Trains」と呼ばれる観光列車群など見どころ豊富。乗車すると、伸びしろありな路線と感じました。
高速バスの代替路線として期待
やがて人家が見え出すと、予讃線と接続する北宇和島駅です。予土線はここまでですが、全列車が宇和島駅まで直通します。16時ちょうどに到着した宇和島駅で21人が下車しました。総じて、トロッコ列車への団体客や途中にある観光施設へのアクセスが多いものの、全区間の乗り通し利用もそれなりに見られました。
なお宇和島16時40分発は、0系新幹線風デザインで「全国一遅い新幹線」とも呼ばれる「鉄道ホビートレイン」でした。車内には0系で実際に使われた転換式クロスシートがあります。
ほかにも予土線には、かっぱの模型が飾られた妖怪列車「海洋堂ホビートレイン かっぱうようよ号」が走り、「しまんトロッコ」「鉄道ホビートレイン」と合わせて「予土線三兄弟」と呼ばれ、イベントで連結もされます。
さらにラッピング列車として「鬼列車」「おさんぽなんよ号」「しまんと開運汽車 すまいるえきちゃん号」もあり、全て合わせて「Yodosen FunFun Trains」と呼ばれています。赤字路線ではありますが、「乗って楽しい路線」でもあるのです。
しかし紅葉の季節にトロッコ列車が走らないのは惜しいです。また「Yodosen FunFun Trains」は乗車2時間を超えるにもかかわらずトイレがなく、景色も見にくいロングシート車なのはミスマッチでしょう。予土線は臨時でも「ものがたり列車」を設定して欲しい路線です。
ところで、高知~宇和島間には高速バスがありません。高知~窪川間の特急と、かつての快速「あしずり」の所要時間を合計すると、高知~宇和島間は2時間58分ですから、直通列車を設定してもよいのではないでしょうか。予土線は、ソフト面やアクセス性が改善されるとなおよい路線と言えます。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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