無人戦闘機の「激ヤバ格闘性」本当に必要? 実はデメリットも「戦争ってぶっちゃけ勝てばいいんだから」

戦闘能力を持った無人機、いわゆるUCAVが急速に広まるなか、制空戦闘機に関しても無人機の方が格闘戦(ドッグファイト)で優位と言われます。しかし、高G機動に耐えられるような機体には大きなデメリットもあるようです。

高Gに耐えられる機体構造、本当に必要?

 機体構造が頑丈になればおのずと機体重量も増え、最大離陸重量に対する搭載量の割合が減少するでしょう。そうなると、とうぜん航続距離や滞空時間に影響が出ます。仮に、同規模の燃料搭載量を確保しようとするなら、兵装の搭載量を減らさざるを得ません。

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最も売れているUCAVのひとつ、中国の彩虹4型(CH-4)無人機。性能面ではほぼMQ-1「プレデター」に匹敵し、見た目も非常にそっくり(関 賢太郎撮影)。

 また、重量増加は旋回を継続できる時間も減少させます。無人戦闘機は人間が搭乗しない分、生命維持装置や射出座席・コックピットを省略し軽量化することが可能でしょうが、そのメリットを食いつぶしてしまうことにつながります。

 瞬間的な旋回能力の向上がもたらすメリットが重量増加のデメリットを上回るのかというと、それも微妙なところです。機動性をいくら向上させたとしても、空対空ミサイルが発揮する数十Gの旋回能力には及びません。現在の技術では、ミサイルの旋回能力は戦闘機のそれを大きく上回っています。したがって、戦闘機自体が超高G機動を行うよりも、ミサイルにその役割を担わせる方が現実的です。

 結論として、無人戦闘機に超高G機動を行わせることは技術的には可能ですが、それを実現するための代償が大きいため、実際にはあまり求められていないのが現状です。

 現実的に求められる無人戦闘機の役割は、パイロットの生命を守るために有人戦闘機では高リスクな任務に投入することや、長時間の監視任務を遂行すること、そしてミサイルや他の武器システムとの連携を強化することなどでしょう。

 たとえば半自律型の僚機として有人戦闘機から命令を受けながら連携する、自機の位置を暴露する危険があるレーダーを使用しデータリンクで情報共有する、敵機を攻撃するためミサイルの射程圏内まで前進する(相手のミサイルの射程に入る)などが考えられます。

 今後、材料工学や制御技術の進歩により、無人戦闘機の超高G機動が実現される可能性もあるかもしれませんが、当面そうした能力が求められることはないと、前述したような理由から筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は見ています。

【画像】将来、日本も買う? ボーイングが開発中の無人戦闘機です

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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