廃止やむなし? JR久留里線「末端区間」には何があるのか ごった返す車内に“普段の乗客”を見た
JR東日本は久留里線の末端区間である久留里~上総亀山間の廃止を表明しました。JR発足時、輸送密度で823人/日だった同区間は、現在は64人/日。行き止まり路線の末端の利用状況を見てみます。
クルマで来る鉄道ファンも
ちなみに千葉駅と鴨川市を結ぶ高速バス「カピーナ号」は、上総亀山駅から徒歩6分の亀山・藤林大橋を経由し、久留里線の駅がある松丘、平山、久留里にも停車します。しかも、千葉駅を列車より遅い6時50分に発車して、亀山・藤林大橋に8時10分着(所要1時間20分)です。
東京駅からでも、例えば10時10分にバスターミナル東京八重洲を出る高速バス「アクシー号」は、上総亀山駅から徒歩20分ほどの笹に12時8分着(所要1時間58分)ですから、対東京、対千葉ともに高速バスの利便性が勝ります。
筆者(安藤昌季:乗りものライター)は土曜日、安房鴨川駅12時50分発の「カピーナ号」に乗り、亀山・藤林大橋13時13分着で亀山に入りました。なお、東京と鴨川市を結ぶ「アクシー号」の場合は、東京から上総亀山に入る場合は笹で降りられますが、安房鴨川発だと笹では下車できないので注意が必要です。
上総亀山駅に近づくと、途切れている線路が見えました。計画では、小湊鐵道と国鉄木原線(現・いすみ鉄道)の上総中野駅まで延伸されるはずだった線路ですが、もうその日は来ないでしょう。
上総亀山駅前には酒屋以外の商店はありません。駅は木造駅舎とトイレだけの設備ですが、トイレは綺麗に保たれていました。元々は1面2線+側線があった駅です。現在では1面1線の棒線ですが、22時到着の最終列車は滞泊して翌朝6時に折り返します。
13時20分ごろに到着した駅には3人の鉄道ファンがいて、駅設備を撮影していました。14時11分の列車到着前には、クルマで駅に来た鉄道ファンが増えました。
列車が到着すると、予想以上に多くの人が降りてきました。数えると147人。家族連れもいます。普段は1列車平均3.8人の区間ですから、ほぼ全て廃線を聞いて乗車した人々ではないでしょうか。
定期券を車掌に見せていたのは2人でしたから、これが普段の利用客数だと思われます。久留里線はSuicaなどの交通系ICカードは使えないため、乗り歩きで便利なのは自動券売機で買えるフリーきっぷ「休日おでかけパス」(2720円)です。
「下り8往復、上り9往復」とは……?
久留里から先の末端区間は現状でも朝夕に特化したダイヤで、日中は5時間ほど空白の時間がある。
このようなダイヤになって久しいが、沿線は住民も少ない上に外部からの客を呼べる施設や観光地もないのでどうしようもない。
上総亀山駅にしても木原線を敷設するための「仮の終着駅」。
元々亀山周辺は輸送需要が少なく、上総亀山以遠の延伸中止が決定した時点でこうなることは予想できた。
JRが国鉄のままであれば維持を続けたかも知れないが、民間企業となった今では致し方ないことなのかもしれない。
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