廃止やむなし? JR久留里線「末端区間」には何があるのか ごった返す車内に“普段の乗客”を見た

JR東日本は久留里線の末端区間である久留里~上総亀山間の廃止を表明しました。JR発足時、輸送密度で823人/日だった同区間は、現在は64人/日。行き止まり路線の末端の利用状況を見てみます。

沿線では予約制デマントタクシーが運行

 降りた乗客の一部は駅を離れました。宿泊施設は亀山温泉ホテルだけですが、立ち寄り湯もあるので、行楽地としては楽しめます。大半が折り返し列車に乗車し、上総亀山14時27分発の列車には92人が乗車。3扉ロングシートのキハE130形の座席は大半が埋まりました。筆者も同乗します。

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平山~久留里間。カーブが多く、川を越え野を越えといった車窓(2024年12月、安藤昌季撮影)。

 車窓右側は田園風景、車窓左側には小櫃川が流れますが、川は列車からはあまり見えません。踏切を越えると森が深くなりました。ほぼ人家を見ないまま、14時34分に上総松丘駅着。かつては交換設備があった駅で、ホームの跡も残っています。乗降はありませんでした。

 列車はカーブが多い区間を30~40km/h程度で走ります。ソーラーパネルと田んぼが森の中に見え隠れしますが、人家はあまり見えません。14時35分に小櫃川を鉄橋で越え、14時39分に平山駅到着。待合室だけがある1面1線の無人駅ですが、おじいさんが列車にカメラを向けていました。

 車窓右側は平山の集落です。集落から離れると水路を鉄橋で越え、大きくカーブ。14時54分に久留里駅に到着しました。ここまで下車客はなく、上総亀山~久留里間の乗客はほぼ鉄道ファンだったと思われます。

 筆者は木更津駅に戻り、折り返しの15時53分発の上総亀山行きに乗車しましたが、こちらは36人が乗車。当日は土曜日でしたが、見たところこの列車では鉄道ファンを含む行楽客はそれほど多くなく、久留里駅から上総亀山方面への継続乗車は20人でした。

 末端区間を利用しての感想ですが、駅の近辺にはそれほど人家がなく、この地域では予約制デマントタクシー「きみぴょん号」も300~500円で利用できるため、観光利用以外の鉄道利用客は望めないように映りました。沿線地域交通検討会議の「自動車中心の交通体系への移行により、より利便性の高い地域公共交通が実現する」を否定しがたいと感じます。

 一方の木更津~久留里間は学生を含む地元利用客もそれなりに見られ、こちらが存続できるよう願う次第です。

※一部修正しました(1月5日17時00分)。

途切れた線路… 久留里線“幻の”延伸計画とは(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

3件のコメント

  1. 「下り8往復、上り9往復」とは……?

  2. 久留里から先の末端区間は現状でも朝夕に特化したダイヤで、日中は5時間ほど空白の時間がある。

    このようなダイヤになって久しいが、沿線は住民も少ない上に外部からの客を呼べる施設や観光地もないのでどうしようもない。

    上総亀山駅にしても木原線を敷設するための「仮の終着駅」。

    元々亀山周辺は輸送需要が少なく、上総亀山以遠の延伸中止が決定した時点でこうなることは予想できた。

    JRが国鉄のままであれば維持を続けたかも知れないが、民間企業となった今では致し方ないことなのかもしれない。

  3. 新しい情報が読めて良かった