揺らぐEV崇拝「クリーンディーゼル」をなぜ見直さないのか? すっかり聞かなくなったけど「しっかり売れている」という現実

EVが失速し、現実的な選択肢としてHVも脚光を浴びるなか、以前よりすっかり話題に上らなくなったのが「クリーンディーゼル」。軽油なので燃料コストは抜群、走りもよいのに“アブラだけ”という理由で廃れてしまうのでしょうか。

ディーゼル車は「防災」になる!?

 環境対策のための次世代パワートレインとして、近年になって話題にあがるのは、すっかり電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)ばかりとなっています。しかし、つい最近まで、次世代パワートレインのひとつとして、大きな期待を寄せられていたのが「クリーンディーゼル」です。

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クリーンディーゼル車に軽油を給油するイメージ。触媒として必要なアドブルー(尿素水)は約1000kmに1L消費が目安。価格は10Lを2000円程度で買えるという(乗りものニュース編集部撮影)。

 クリーンディーゼルは、「ガソリンエンジンよりも燃費がよい」「高速走行時のエンジン回転数が低いので快適」などのメリットがあります。クリーンディーゼルに使う燃料の軽油が、ガソリンよりも安いというのも嬉しいところ。そのため、クリーンディーゼルは、エコカーのひとつとして、国から補助金が出たほどです。

 また、ディーゼル車はガソリン車やガソリンエンジンを積むハイブリッドに比較して普及数が少ないので、災害時に燃料不足となったとき、燃料確保が比較的に楽だというメリットもあります。これを指して、マツダなどは企業のBCP対策(事業継続性)のため社用車などにディーゼル車を、とオススメしているほどです。

 2010年代の欧州の自動車メーカーは、「環境対策はディーゼルで十分」というスタンスで、日本のハイブリッド車と競う姿勢を見せていました。ところが、その欧州の巨人であるフォルクスワーゲンによるディーゼルゲート事件が2015年に発覚します。ディーゼルエンジンの排気ガスの規制を、不正ソフトを使って回避していたというのです。

 この問題発覚により、クリーンディーゼルの状況は一変します。ディーゼルエンジンは、クリーンではなく、すっかり悪役と見なされることになり、次世代パワートレインのひとつから脱落してしまうのです。今では、次世代パワートレインにクリーンディーゼルを! という意見は、ほとんど耳にすることがなくなっています。

 それでは、クリーンディーゼルは、まったくもって未来がないのでしょうか。実際には、そうではありません。クリーンディーゼルは、今なお根強く売れています。

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