「うれしート」「いにしへ」導入で変わる!? JR奈良線vs近鉄京都線 100年来のライバル鉄道
京都と奈良を結ぶ鉄道には近鉄京都線とJR奈良線が存在します。開業は奈良線の方が早いものの、長らくライバル路線として競ってきた関係性です。近年はJRもテコ入れを図り、「サービスの近鉄」へ挑む構図となっています。
では近鉄特急はどうか
さて、筆者は日を改めて京都14時40分発の近鉄奈良行き観光特急「あをによし」へ乗車しました。ちなみに急行なら所要時間は45分で、これはJR奈良線の快速とほぼ同じです。
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特急だとわずか34分の距離ですが、「あをによし」にはビュッフェが備わっています。少しでも営業時間を確保するために出発前から開店していますが、乗車時間が短いので、2回転できるかどうか。近鉄がブランドイメージとして、収益性だけではない部分でも営業している印象を受けました。
設備は「サロンシート」と「ツインシート」。「サロンシート」は半個室で、超大窓が備わる3~4人用区画です。人気があり、瞬時に売り切れることが多い設備です。一方「ツインシート」は1人掛け座席が窓側に向く、カップル向け設備。ただし1人でも、子ども分の特急券と特別車両券を支払えば利用できます。
インテリアは抜群によいですが、座席は背もたれがまっすぐかつ固め。所要時間は34分なので、座り心地が気になる前に終点に着くと思いますが。
車窓のハイライトは、大和西大寺駅を出た直後の、平城宮跡歴史公園でしょう。線路が公園内を通っているので、朱雀門などの歴史的建築物を列車内から見られます。なお、JR奈良線とは木津川を挟んでいるので、ほとんど目に入ることはありませんが、丹波橋駅付近と小倉~伊勢田間で双方の線路が接近します。
乗車してみて、観光輸送では近鉄京都線、地域輸送ではJR奈良線とすみ分けできているように感じられました。ただ、例えば東京~奈良間の移動を考えた場合、新幹線で京都駅まで来て乗り換えると、運賃と普通車自由席で計1万3870円です。京都駅から近鉄特急を使った場合は1万4600円。普通列車でも1万4080円ですから、運賃を通算できるメリットが、JR利用にはあります。
強気の臨時特急「いにしへ」も、東京駅からだと1万5160円となり、近鉄特急との差は560円。もし、自由席か自由席並みの割引制度を設ければ、近鉄とほぼ同額となります。ダイヤ次第では一定の需要を見込めるのかもしれません。
攻めの姿勢を見せるJR西日本が、奈良線を今後どう育てていくのか、注目が集まります。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
最初の奈良線の快速停車駅で宇治と木津だけとありますが城陽も最初から停車しています
JAPAN RAIL PASSの旅行客ならば、奈良線のほうが使いやすくなると思う。
すみません。記憶違いでした。城陽は1年遅れだったのてすね。