米軍が80年越しに返還!「激レア日本戦車」が里帰り ポイントは攻撃力を増した新砲塔

2025年3月下旬、太平洋戦争で日本軍の主力戦車であった九七式中戦車(チハ)が横浜港に到着し、80年ぶりの里帰りを果たしました。ただ、この「チハ車」、これまで国内で保存展示されている同種の車両とは大きな違いがありました。

新47mm砲、じつは別戦車に積む予定だった?

 九七式中戦車改、「新砲塔チハ」が生まれたきっかけは中国大陸での戦訓からでした。

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満州の四平陸軍戦車学校所属の九七式中戦車(新砲塔チハ)の前で軍刀を手にポーズを取る戦車兵(曹長)。前期型車体に新砲塔の組合せも目をひくが、この47mm戦車砲を搭載した大型砲塔の側面装甲板は、他の量産車と異なり熔接となっている(吉川和篤所蔵)。

 そもそも、開発当初、チハ車には短砲身の九七式57mm戦車砲が搭載されていました。この砲は敵兵が潜む陣地などを潰すのが主な用途で、歩兵の進撃支援用としては充分だったものの、想定されるソ連赤軍との対戦車戦では非力でした。

 そこで、制式化から時間を置かず、1939(昭和14)年頃から早くも次の主力戦車である九八式中戦車(チホ)の開発が計画されます。これは前出のチニ車とチハ車をちょうど“足して2で割った”といえるようなもので、乗員もチハ車の4名に対して3名と少なく、重量も10t級でした。搭載する砲塔は新型の馬蹄形で、そこに戦車戦を意識した長砲身の37mm砲、もしくは47mm砲、または57mm戦車砲、3種類の搭載が検討されています。

 比較の結果、最終的に試製九七式47mm砲(後の一式機動砲)が新たな戦車砲として開発されます。ちなみに、この戦車砲の開発は1939年6月に決定しましたが、これは同年7月に始まる第二次ノモンハン事件の1か月前であることから、従来言われていた「ノモンハン事件でソ連戦車を相手にした機甲戦が、新型戦車砲の開発契機になった」という説とは異なるといえるでしょう。

 この47mm一式戦車砲は、一見すると、既存の57mm九七式戦車砲より口径が10mm小さいため、劣っているように思われるかもしれません。しかし、長砲身化により初速が倍以上の810m/秒(57mm九七式戦車砲は350m/秒)となり、距離1800mで厚さ50mmの防弾鋼板を貫通する性能を持っていました。そのため、対戦車能力は飛躍的に向上しています。

 しかし、搭載予定だった九八式中戦車(チホ車)の対戦車能力が全体的に不足していたため、量産計画が見直された結果、中止となり、逆にチハ車の武装と防御、走行性能を強化した一式中戦車(チヘ)の開発計画が1941(昭和16)年より始まります。その一方、手始めに既存のチハ車68両に、チホ車用として製造されていた新型戦車砲と専用砲塔の搭載が決定。こうして、新砲塔チハまたは九七式改と呼ばれる47mm戦車砲搭載タイプが誕生しました。

 新設計の大型砲塔は試製チホ車とは異なり、正面左側の砲塔銃は大きく張り出して砲塔銃(機関銃)も後部の左側に移動します。砲塔後面に見える装甲蓋(ハッチ)は戦車砲の出し入れ専用で、内側に30発入りの砲弾ラックが設置されました。また砲塔上面左側には乗降ハッチも新設され、搭乗員も2番砲手を加えて最大5人までに増員しました。

 また新砲塔チハでは、それまでのチハ車の外見的な特徴であるハチマキ式アンテナに代わり、直線アンテナが車体後部に設置されたことで、砲塔上もスッキリしたデザインになっています。生産数は417両ですが、大阪工廠での一式戦車砲の生産が遅れたことにより、旧式の57mm戦車砲の生産も続行されています。

【画像】エンジン残ってる! 国内唯一「九七式中戦車改」のディテールをイッキ見

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