世界の「超デカい飛行艇」たち 驚異のエンジン10発+二重反転プロペラ駆動まで ホントに飛んだの?
世界各国で相次いで民間航空会社が設立された20世紀初頭、長距離を飛ぶ飛行機には水上機や飛行艇が多く用いられており、旅客輸送も外国便は飛行艇が主体でした。それゆえ巨大飛行艇が多数作られました。
エンジン6発に見える戦後生まれの10発飛行艇
第2位はイギリスのサンダース・ローが開発した「プリンセス」です。機内はオール2階建てで乗客105名を収容でき、全長42.1m、全幅66.9m、全高17m、最大離陸重量は156.5tありました。2020年現在で「プリンセス」に近いサイズの旅客機というと、ボーイング767-200でしょう。

「プリンセス」は、性能を高めるために、出力3200馬力の最新型エンジンを10基積み、左右に3つずつあるプロペラのうち、内側の合計4つはエンジン2基を組み合わせて、互いに反対方向に回転するふたつのプロペラからなる二重反転プロペラを回す構造です。
また、主翼の左右の端にある補助フロートは引き込み式にするなど新機軸が用いられており、最大速度は飛行艇としては高速の610km/hを誇りました。
「プリンセス」の開発は第2次世界大戦直後に始まり、遠隔地を結ぶ長距離便向けの大型旅客機として開発され、1952(昭和27)年8月22日に初飛行しています。洋上を長時間飛行するため、万一の際、不時着可能なよう安全性を考えて飛行艇にしたのですが、第2次世界大戦後は陸上機でも長時間にわたり洋上飛行できるようになっていました。
また空港も、設備が充実した大規模なものが整備されていったため、定期便として飛行艇を使う理由がなくなりつつあり、結局、採用する会社は現れず試作機3機の製作で終わりました。
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