1個6000万円!?「戦闘機用ヘルメット」頭を守るだけじゃない! 驚きの進化とは
最新鋭戦闘機のパイロットが見る世界は我々の想像を絶します。それを可能にするのが超ハイテクヘルメット。ただのヘルメットが、なぜそこまで進化したのでしょうか。
40万ドルのヘルメットが変えた戦い方 F-35はHUDすら不要に
HMSの視線の兵器化という概念は、冷戦下の戦闘機開発に多大な影響を与えました。

旧ソ連(現ロシア)が開発した戦闘機MiG-29は、「Shchel-3UM」ヘルメット照準システムと高性能ミサイル「R-73」を組み合わせることで、機体の正面を向いていなくても敵機を攻撃できる能力を獲得し、西側諸国に衝撃を与えました。
この脅威に対抗すべく、アメリカで開発されたのが、ヘルメットの視線と完全に連動する新世代ミサイル「AIM-9X」と、その能力を最大限に引き出すための照準システム「JHMCS」でした。
これにより、先に見つけたほうが先に撃つ能力を西側も手にし、ドッグファイトの常識は一変したのです。
そして現代、ヘルメットの進化は究極の領域にまで達しています。F-35に搭載される最新ヘルメットの価格は、1個40万ドル(約6000万円)ともいわれ、機体の床や壁を見通して360度の視界を得ることを可能にしています。
F-35では、ヘルメットがすべての情報を表示するため、戦闘機では当たり前だったHUD(ヘッドアップディスプレイ)がコックピットから完全に取り払われました。
もはやヘルメットは単なる保護具ではなく、パイロットと機体をつなぐ頭脳そのものへと進化を遂げたといえるでしょう。
行きつくところまで来たような戦闘機パイロットのヘルメットですが、では今後、どのような進化を遂げるのでしょうか。
じつは将来的には、パイロットはヘルメットを通して無人機(ドローン)の群れを指揮するのではないかと推察されています。すなわち、戦闘機パイロットに「空の司令塔」のような役割を付与するのでは、といわれているのです。
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