戦車砲の先端にある「コブ」何のため? 巨砲には必須、でも最新戦車から消滅した理由とは

第二次世界大戦中の有名戦車や日本の61式戦車などには主砲の先に膨らんだ部分を備えているものが多々見られます。この「コブ」のようなものは一体何なのでしょうか。一方で10式戦車など、最新戦車から消えたのはなぜなのでしょうか。

自走砲では今も現役

 なお、ひと口にマズルブレーキといっても形状はさまざまで、形の違いで呼び方も異なります。

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陸上自衛隊の99式自走155mmりゅう弾砲。砲身の先端部分に複数のスリットを備えたマズルブレーキが設けられている(柘植優介撮影)。

 たとえば、全体的には籠型ですが、燃焼ガスを左右に噴出させる開口部が1段だけのものはシングルバッフル式、これが2段になっているとダブルバッフル式と呼ばれます。一方、石炭ストーブの煙突の先端のように筒が左右へと分かれているものはT字型と呼ばれます。他にも、円筒状の本体の左右に、サメの鰓のように数本ずつのスリットが刻まれている形状のマズルブレーキもあります。

 しかし、マズルブレーキは勢いよく噴出する燃焼ガスの方向を転換させるため、砲口と地面が近いと大量の土煙を巻き上げてしまい、次発の照準が困難になる事態が生じるデメリットも内包していました。

 特に車高が低い現代の戦車ではこの事態が起こりやすいため、駐退復座機の機能を向上させることにより、マズルブレーキを装備していないケースも多々見られます。

 その一方で、牽引式の野砲や自走砲などは、今でもその多くがマズルブレーキを装着して反動を軽減させています。

 これは戦車砲弾よりも重い大口径の砲弾を遠距離まで飛ばす必要があることから、反動も戦車砲よりずっと強力であること、そして戦車砲とは異なり、砲弾を遠距離へと飛ばすために、砲身を高く上げる(高仰角)ため、地面から相当の距離が開き、土煙を上げることがほぼない。こうした理由からだといえるでしょう。

【写真】61式戦車にも! ストーブの煙突みたいなものあります

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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