JR東日本「異例の指定席」ダイヤ改正で消滅!「重宝されている」のに…急行時代から36年の車両、交代で“フツーの席”に
JR東日本が2026年3月14日のダイヤ改正を機に、快速の定期列車で異例の指定席を廃止。消滅の数日前に乗り込むと、向かった先には乗客の趣向によくマッチした光景が待ち受けていました。
右側の窓側が満席だった理由
続く遠野(遠野市)は4分停車し、釜石発花巻行き普通のキハ100系が到着した後に出発しました。途中の上有住(住田町)を通過した後、筆者は釜石線の車窓のヤマ場をしかと眺めるために進行方向左側の席を立ちました。
この眺望は進行方向の右側に現れます。ところが右側の窓際座席が満席だったため、右側の扉の窓から眺めることにしました。
釜石線の最大の見せ場と言っても過言ではないヤマ場は、仙人峠を越えるための「オメガループ」です。上有住―陸中大橋(釜石市)間にある全長1280m、半径250mのヘアピンカーブで、「Ω(オメガ)」字状なのでそう呼ばれます。高低差が大きく、鉄道が苦手な急勾配を避けて距離を稼ぐために採用された線形を、右側の窓から“味わう”ことができます。
第一大橋トンネル(長さ116m)を抜けると、中仙人沢に架かる鬼ケ沢橋梁を渡ります。右手の眼下には線路が延びており、特徴的な陸中大橋駅舎が見えました。すると、曲線を描きながら下る第二大橋トンネル(長さ1280m)の暗闇に吸い込まれました。
トンネルを抜けて現れたのは、陸中大橋の1面2線の島式ホームでした。右手には赤いトラス橋があり、それが先ほど列車で通過した鬼ケ沢橋梁でした。HB-E220系は全席がロングシートの上、窓も決して大きくはないため、花巻などから釜石へ向かう場合には進行方向右側のロングシートで体をよじりながら窓外を眺めることになりそうです。
「はまゆり」は甲子川を渡ると、三陸鉄道との接続駅でもある終着の釜石へ定刻の13時57分に滑り込みました。利用者たちは下車後も、引退を惜しむようにキハ110系の姿をしきりと撮影していました。
しきりとシャッターを切られる列車の奥には、煙突から白煙を立ち上らせる日本製鉄の北日本製鉄所釜石地区がそびえています。“鉄分”がたっぷりの乗客たちを歓迎してくれた終点は、正真正銘の「鉄のまち」でした。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。





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