なぜ海自の掃海艇は“木造”? 危険な「機雷」相手になぜ鋼鉄じゃないのか 中東緊迫で注目

2026年2月末、中東情勢が緊迫化し、イランがホルムズ海峡に機雷を敷設したとの報道も出ています。この「海の地雷」を処理する海上自衛隊の掃海艇には、なぜか“木造”の船がいまだ現役です。なぜ危険な任務に鋼鉄製ではない船が使われるのでしょうか。

多様な「機雷」と2つの処分方法

 先ほども触れたように、実は機雷にはさまざまな種類があります。触発機雷や磁気機雷以外で現在知られている代表的なものとしては、船舶が航行する際に発生する音や水圧を感知して起爆する「音響機雷」や「水圧機雷」、さらにこれらをひとつに組み合わせた「複合機雷」、そして目標が近づくとロケットなどによって海中から急速に上昇して起爆する「上昇機雷」や、カプセルに収納された魚雷を射出する「ホーミング機雷」などが挙げられます。

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「令和7年度機雷戦訓練」に参加した護衛艦「みくま」から海面に下ろされる「自律型水中航走式機雷探知機」(画像:海上自衛隊護衛艦隊)。

 また機雷自体の種類に加え、その設置方法による区別も存在していて、海面にぷかぷかと浮かぶ「浮遊機雷」、下に沈むおもりと係維索と呼ばれるロープのようなものでつながれ、任意の水深に設置される「係維機雷」、海底に設置される「沈底機雷」などが代表的です。

 では、このようにバラエティーに富んだ機雷をいかにして処分していくのでしょうか。機雷の処分には大きく分けてふた通りのやり方があります。

 ひとつは、すでに存在が判明している機雷原で、掃海艇やヘリコプターが音や磁気などを発生させる装置を引っ張りながら航行して音響機雷や磁気機雷を爆発させたり、あるいはカッターなどがついた掃海索と呼ばれるロープ状の器具を引っ張りながら航行して係維機雷の係維索を切断し、浮かび上がった機雷を機関砲などで射撃して処分したりする方法です。これは「機雷掃海」と呼ばれます。

 もうひとつは、海中に潜む機雷をソーナーなどによって探し出し、専門のダイバーや小型の無人水中機(UUV)を使って機雷の近くに爆薬をセットして爆破処分する方法です。こちらは「機雷掃討」と呼ばれます。海上自衛隊では、とくにこの機雷掃討に関する能力向上を進めてきており、先述したもがみ型護衛艦には、泥の中に隠れている沈底機雷を見つけ出す能力に優れたUUVである「OZZ-5」、さらにこれと連携する無人機雷排除システム用水上無人機(USV)をそれぞれ搭載、運用可能です。

 現在、中東情勢と絡めて注目が集まる機雷ですが、日本周辺海域でも有事の際に中国が東シナ海などに機雷を大量に敷設する可能性があり、油断できない存在です。そうした中で、海上自衛隊は機雷処理能力を高めるため、さまざまな取り組みを進めているのです。

【これが海自の機雷処理専用艦艇です!】海上自衛隊の機雷掃海関連艦艇を写真で(画像)

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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