なぜ海自の掃海艇は“木造”? 危険な「機雷」相手になぜ鋼鉄じゃないのか 中東緊迫で注目

2026年2月末、中東情勢が緊迫化し、イランがホルムズ海峡に機雷を敷設したとの報道も出ています。この「海の地雷」を処理する海上自衛隊の掃海艇には、なぜか“木造”の船がいまだ現役です。なぜ危険な任務に鋼鉄製ではない船が使われるのでしょうか。

海自の掃海艇、なぜ木造?

 2026年2月28日に発生した、イランに対するアメリカとイスラエルによる攻撃を契機として、中東情勢はその緊迫度を大きく増しています。なかでも、イランの軍事組織であるイスラム革命防衛隊は、ホルムズ海峡を通航しようとする特定船籍の外国船舶を攻撃すると宣言し、同海峡を事実上閉鎖しました。すでに、タンカーなど民間船舶に攻撃が加えられているほか、一部報道ではイランがホルムズ海峡に機雷を敷設したとの情報もあります。

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訓練で機雷を実際に爆破処理する海上自衛隊掃海隊群の掃海艦「ひらど」(画像:海上自衛隊)。

 機雷とは、海上を進む船舶や海中に潜む潜水艦などをターゲットにする、いわば「海の地雷」です。じつは、そんな機雷を処理する能力を持った貴重なフネを、海上自衛隊は数多く保有しています。それが掃海艇です。

 掃海艇とは、機雷を処分して味方の艦艇や民間船舶が通るための道を確保することを任務とする艦艇で、まさに海上自衛隊の縁の下の力持ちともいうべき存在です。じつはそんな掃海艇、海上自衛隊では木造の掃海艇が多数運用されています。なぜ爆発物である機雷と対峙する危険な任務についている掃海艇は、頑丈な鋼鉄製ではなくもろい木造なのでしょうか。

 実は機雷には様々な種類があります。一般的なイメージの機雷は、球体にユニコーンの角のような突起物がいたるところに生えているような物体かと思いますが、これは船と機雷が直接接触することによって起爆する「触発機雷」と呼ばれるもので、機雷としては最も古いベーシックな種類のものです。これを処分するだけならば鋼鉄製の掃海艇でも何の問題もありません。

 しかし、問題となるのはいわゆる「磁気機雷」の処分です。磁気機雷は、海中に設置された機雷の上を通過する船舶が帯びる磁気によって生じる、周囲の磁場の乱れなどを感知して起爆するもので、仮に鋼鉄製の掃海艇で処分しようとすると、金属が磁気を帯びるという性質上、処分しようと近づいた途端に機雷が起爆する危険性が高まってしまいます。そのため、こうした磁気機雷対策として掃海艇の船体にはいまだ木材が使用されているものがあるのです。

 ところが、木造の掃海艇は船体の腐食などの影響で運用期間をさほど長く設定できないといった問題もあり、海上自衛隊ではえのしま型掃海艇(2012(平成24)年就役開始)やあわじ型掃海艦(2017(平成29)年就役開始)より軽量で長期間運用できる繊維強化プラスチック(FRP)製の掃海艦艇にシフトしつつあります。また、それまで機雷処理能力を有してこなかった護衛艦にも、2022年から就役を開始したもがみ型において機能付加されています。

【これが海自の機雷処理専用艦艇です!】海上自衛隊の機雷掃海関連艦艇を写真で(画像)

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