10年前の大議論「ホルムズ海峡に機雷が敷設された際の日本の対応」が現実に…! 自衛隊派遣できるの?できないの? その「理屈」とは(前編)
イランがホルムズ海峡を事実上閉鎖し、世界のエネルギー供給に懸念が広がっています。この事態を受け、かつて国会で議論された自衛隊の活動を可能とする「存立危機事態」について、あらためて考えます。
思い起こされる11年前の国会論戦
2026年2月28日に発生した、イランに対するアメリカとイスラエルによる攻撃を契機として、中東情勢はその緊迫度を大きく増しています。なかでも、イランの軍事組織であるイスラム革命防衛隊は、ホルムズ海峡を通航しようとする特定船籍の外国船舶を攻撃すると宣言し、同海峡を事実上閉鎖しました。すでに、タンカーなど民間船舶に攻撃が加えられているほか、一部報道ではイランがホルムズ海峡に機雷を敷設したとの情報もあります。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾の間に位置し、最も狭いところでは幅が約33kmという海峡です。ここを全世界の石油および液化天然ガス(LNG)供給量の約2割がタンカーによって通過しており、まさに世界規模での海上交通の要衝と言えます。そのホルムズ海峡が閉鎖されたとなれば、世界経済に与える影響は計り知れません。もちろん、石油や天然ガスを船舶による海上輸送に頼る日本も、例外ではありません。
そこで思い起こされるのが、2015(平成27)年に国会論戦を通じて日本の国論を二分し、翌2016(平成28)年に施行された、いわゆる「平和安全法制」です。このとき、まさに国会で議論されたのが「ホルムズ海峡に機雷が敷設された際の日本の対応」でした。
当時、日本政府はホルムズ海峡に機雷が敷設されるという状況は「存立危機事態」にあたり得るため、その機雷を自衛隊が掃海することが可能という整理を行っていました。あらためて、当時の国会答弁を整理しながら、現在日本は何ができるのかについて、考えてみましょう。
まず、今回の議論の前提となる存立危機事態とは何かということから見ていきましょう。そもそも、平和安全法制が国論を二分するほどの注目を集めたのは、それまでその行使が憲法上認められてこなかった集団的自衛権を、限定的ながら行使できるようにしたためです。集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある他国が攻撃を受けた際、自国が攻撃されていないにもかかわらず、その攻撃に共同で対処することが出来るという、国際法上の権利です。
従来、日本政府は武力行使を禁じた憲法第9条のもとにおいても、日本を防衛するための必要最小限度の実力は行使できるとしてきました。その理由は、他国からの武力攻撃によって「国民の平和的生存権や、生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される」ような事態に対処することを、流石に憲法は禁じていないと解釈したためです。そこで、日本が他国から直接攻撃された場合に、自国を防衛するための権利である個別的自衛権が認められることは、いわば当然とされてきました。





石油の1滴は血の1滴