ホンダと日産「どっちが苦しい?」 2社で全く異なる“赤字6000億円超”の実態 答えは「いいクルマ」次第?
ホンダと日産が、ともに6000億円級の巨額赤字となる見通しです。しかし、その中身や理由は両社で全く異なります。それぞれが置かれている状況とは、どのような厳しさを持っているのでしょうか。
「身の丈に合った体制へ」日産に光が見え始めた!
そもそも日産は2010年代後半、世界で年間500万台以上のクルマを売っていた会社です。ところが現在、年間での世界販売台数は320~330万台規模まで落ち込んでいます。
つまり、2010年代に比べて4割ほど生産能力を落とさなければ計算が合いません。まずは身の丈に合った体制へと立て直す必要がありますから、今回のリストラ策は、日産にとって避けて通れない試練だったのかもしれません。
そして、日産には苦境の先に、わずかながら光が見え始めています。最新の業績となる2025年度第3四半期決算を見ると、世界全体での販売台数こそ落ちているものの、北米での成績はほぼ横ばい、中国ではプラス12.7%と上向いています。
これはレンタカー販売をはじめ、数は稼げるもののブランド力を棄損する「フリート販売」を抑えつつ、魅力的な新車を投入するという、直近の再建策の効果がジワジワと表れてきていると捉えられます。
今後は不調である日本と欧州市場に対し、どのようなテコ入れを行っていくかが重要になるのではないでしょうか。魅力的な新型車の投入などを期待したいところです。
では「ホンダは安泰」と言えるのか?
では、日産に比べてホンダが安泰かといえば、意外とそうではありません。出血を最小限に抑えたとはいえ、全体の損失額は最大2兆5000億円という途方もない数字ですから、今回の方針見直しの影響は今期だけでなく来年以降も尾を引くはずです。
また、ホンダも2010年代後半には世界で年間500万台以上の販売規模でしたが、近年は日産同様、約340万台レベルにまで落ち込んでおり、2020年代に入ってからは販売台数を減らし続けています。
ホンダの場合は二輪事業が安定して儲かっているため、会社全体としては目立って業績が悪いように見えません。しかし四輪事業に注目すれば、それほど成功しているわけでもないのです。
そして今回の四輪車における電動化戦略の見直しは、大きく失敗しそうな3モデルのBEVの計画をストップしただけ。つまりマイナスを小さくしただけで、儲けを直接作り出す施策ではありません。
新たな収益を生み出すには、今回の戦略見直しとは別で、純エンジン車やハイブリッド車の新たなヒットモデルが必要になるでしょう。そうした意味で、新たな方針のもと開発される新型車には大きな期待がかかります。注目すべきは、ホンダが今後どんな魅力的な新車を投入するかではないかと、筆者(鈴木ケンイチ:モータージャーナリスト)は考えます。
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。著書「自動車ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)





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