米軍の「空飛ぶ指揮所」ドローンで大破! 撃墜よりヤバい “地上での損失” 深刻すぎる「残り少数」の台所事情

対イラン作戦を展開するアメリカ軍に激震が走りました。サウジアラビアの基地でE-3G早期警戒管制機が、イラン側の自爆ドローンとみられる攻撃で大破したのです。じつは今回の損失は、アメリカ軍にとって看過できない厳しさを孕んでいます。

「地上駐機」の致命的リスクは自衛隊も同じ?

 本来であれば、このギャップを補完すべき後継機として、新型のE-7「ウェッジテイル」を早急に導入すべきです。しかし、同機の調達計画は2025年6月、全26機が取得中止の決定を受けており、後継機の導入が不可能となりました。

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E-7「ウェッジテイル」早期警戒管制機。E-3の後継機として調達が進んでいるが、現在最初の1機が製造中であるにすぎない。画像はオーストラリア空軍機(画像:アメリカ空軍)

 その代替として提示されたのが、低軌道衛星群による早期警戒ネットワークの構築構想でしたが、これはいまだ実体化しておらず、技術的・運用的成熟度の観点からも時期尚早との評価が支配的です。その結果、E-7調達計画は再び復活するなど、戦力整備方針は一貫性を欠いたまま迷走を続けています。

 かくしてアメリカ空軍は、老朽化したE-3を半ば「だましだまし」運用し続けているような状況に追い込まれています。そのようななか、貴重な1機を失うという打撃を被ったのです。今後、AWACS戦力の不足がより顕在化し、作戦運用に制約を与える可能性があると言えるでしょう。

 歴史的に見ても、AWACSの喪失は極めて稀な事象です。2024年1月のウクライナ戦争においてロシアのA-50早期警戒機が2機撃墜された事例が知られていますが、これらはいずれも空中における交戦によるものでした。今回のE-3Gの損失は、地上駐機中に攻撃を受け無力化されたという点において、極めて特異なケースとして位置付けられます。

 この事案が示唆する本質は明白です。すなわち、敵の攻撃圏内に位置する航空基地における高価値資産の配備は、極めて高いリスクを伴うという現実です。自爆ドローンは、ひとつひとつは迎撃可能であっても、飽和攻撃によって防空網の隙間を突くことができる以上、従来の拠点防護の前提そのものが再考を迫られています。

 防空網の多層化と再構築、航空機の分散配置、さらには頻繁な移動を前提とした運用の確立が不可欠となるのは間違いないでしょう。

 加えて、これらの教訓は決して中東に限定されたものではありません。多くの航空基地が他国のミサイルの射程圏内に存在し、同様の脅威環境に直面し得る航空自衛隊にとっても、無縁ではないと言えるのです。

【画像】ディスプレイ大きいな! これがE-3の機内コンソールです

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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