「北斗星の機関車」天敵はまさかのネズミ!? 「何とか直して動かしたい」満身創痍のDD51を世話する日タイ合同チームの奮闘

日本からタイに渡った元JR北海道のDD51形ディーゼル機関車が、ネズミ被害などで満身創痍の状態です。日本人有志によるボランティア整備が続いていますが、整備環境や文化の違いなど、多くの課題に直面しています。

「僚友」1137号機の調子は?

 では1137号機はどうでしょうか。辛島さんへ尋ねると「まぁまぁと言った状態です。コンプレッサーの油漏れが気になりますが……」と、こちらも懸念事項はあるものの、総合的に判断して使用してもよい状態とのことです。

 油漏れは給油して経過観察とし、第2エンジンのシリンダーヘッドカバーと燃料戻し管に油にじみが発生しており、パッキンの取り替えが必要です。また、フィルター関連の目詰まりが各所で見受けられ、パッキンの破損箇所も見受けられました。対策として清掃や目詰まり対策、パッキンの現地製作を検討しています。

 2両のDD51形は日本のように定期的な点検と検査、万全体制の部品交換によって常に最良の状態を維持するのが困難で、あくまでもインフラ整備会社の機械として導入されたゆえに、鉄道車両として正式にタイ国鉄の工場で整備されるわけでもなく、設備に制約のあるAS社のデポで作業をするしかありません。

 一連の技術支援は国の事業ではなく、「DD51を助けたい」という日本人鉄道ファンによるボランティア活動と、クラファン出資者の原動力があってこそ成り立っています。

 さらに、懸念事項もあります。ノンプラドックでのDD51形2台体制は解消され、デポが分散することです。DD51形はペア稼働が前提ではなく、AS社が受注した工事地点へとバラバラに移動することになります。早ければ数か月後には移動するため、今後は同じデポ内で両機の整備ができなくなります。調子の悪い1142号機とまぁまぁな1137号機の整備体制がどうなっていくのか、課題が残ります。

 また、メンテナンスに対する考え方は、予防保全修繕をベースとした日本と、故障してから対処するタイとで思想が異なります。日々の整備と蓄積していく小さなトラブルに関しても、なかなか解消されません。そもそも国民性が異なるため、こればかりは致し方のないことです。

「メンテナンスに対する考え方の溝は日々痛感していますが、AS社も何とか直して動かしたい熱意は十分に感じています」とTEAM51リーダーの吉村元志さん。その熱意があるからこそ、TEAM51のメンバーは可能な限りサポートして応えていきたいと考えています。

 偶然の出会いから始まったタイのDD51形技術支援は、継続的なクラファンを実施しつつ、日本とタイを結んで連絡を密にしながら、一年に一度は大きなメンテナンスと勉強会を実施し、マンパワーによって支えられています。

【重連】これがタイに渡った2両のDD51形ディーゼル機関車です(写真)

Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

最新記事

コメント