「郵政カブ」もはや風前の灯火か!? 日常に溶け込みすぎた“超特別なスーパーカブ”が消えていく
家の外から聞こえるバイクの音で、郵便が来たとわかった人も多いかもしれません。昭和から日本の日常風景に溶け込んできた真っ赤な「郵政カブ」ですが、その姿がまもなく見られなくなる可能性があります。
時代とともに進化、そして迫りくる「電動の波」
そして、初代MD90登場の翌年、1972(昭和47)年にはタイヤ径を14インチとしたモデルが完成し、さらに翌1973(昭和48)年には50ccと70ccモデルを追加。1986(昭和61)年頃まで、これら3車種が郵便配達で使われることになりました。
1986年には、6Vだった電装系が12Vへとブラッシュアップされます。1999(平成11)年にはMD70が廃盤となり、50ccと90ccの2モデルが以降長らく活躍することになります。また、2009(平成21)年にはスーパーカブシリーズ全体のインジェクション化に伴い一時的に生産が縮小されますが、2010(平成22)年にはフルモデルチェンジを果たしました。
以降、50ccと110ccの2車種が「郵便配達専用モデル」として採用されることとなり、従来モデルは2012年に生産終了に至ります。以降の「郵便配達専用モデル」は、新聞配達など向けに開発されたスーパーカブProシリーズがベースで、初代MDほどの専用設計ではない点が、ファンにとっては少々残念にも感じられるところです。ただし、配達現場での活躍ぶりは初代同様で、今日に至るまで採用され続けています。
他方、2019(令和元)年からは電動スクーター「BENLY e:PRO」が「郵便配達専用モデル」として採用され始め、今日まで少しずつガソリン車のMDからの転換が進んでいます。
これはMDやスーパーカブProベースの「郵政カブ」と違ってギアチェンジがなく、音や振動も少なく、さらにシート高が低いステップスルー式のため、郵便局内でも「バイクに不慣れな職員でも扱いやすい」と高評価を受けているようです。
近い将来、ガソリン車の「郵政カブ」は完全に姿を消すことになりそうですが、昭和・平成・令和にわたって活躍し、冒頭で触れたような「日常風景」でもあった存在が消滅するのは、やはり残念に思います。
「せめて中古車で購入して手元に置いておきたい」と筆者は考えてしまいますが、ひと昔前の比較的ゆるやかな時代には中古車市場に「郵政カブ」が出回ることもあったものの、現在は払い下げ業者が一括購入するケースが大半で、入手はかなり困難です。やはり「郵政カブ」をリアルで目にする時間は、残りわずかのようです。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。





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