台湾の対岸に「旧式戦闘機」が集結なぜ!? 現代戦に使えない機体が “恐るべき自爆兵器” になる日

中国・福建省の最前線基地で撮影された1枚の衛星画像が波紋を呼んでいます。そこに写っていたのは、現代戦では到底通用しないはずの旧式戦闘機「J-6」でした。なぜ今さら半世紀前の骨董品が引っ張り出されたのでしょうか。

老朽戦闘機を「過去の遺物」と侮るなかれ

 元々有人機であるJ-6は既存の自爆型ドローンと比べても大きく、機体容積を活かして相当量の爆薬を搭載可能です。加えてジェット機としての高速性能を保持している点で、通常のプロペラ式ドローンとは一線を画す脅威となり得ます。

Large 20260421 01

拡大画像

中国人民解放軍の無人機群。この制御技術を老朽化した戦闘機に組み合わせたら……(画像:AVIC)。

 中国は老朽化した航空資産を、廃棄対象としてではなく戦力体系の一部として再利用しているのだと言えます。無人機へと改修することで、パイロットの損耗を回避しつつ、敵防空網への突入を前提とした「使い捨ての特攻兵器」として運用するのであれば、そのコストパフォーマンスは極めて高いと言えるでしょう。

 さらに重要なのは、これらの機体が前線に近い航空基地へ進出したという点です。後方の保管施設ではなく、台湾にほど近い福建省の基地に姿を見せたというのは、実戦運用を想定した配置、または訓練の一環と見るのが自然であり、それは中国側がこの「無人J-6」を一定の戦術的価値を有する戦力として評価していることを示唆しています。

 すなわち、第一波攻撃における防空網の消耗誘発、あるいは重要目標への飽和攻撃といった任務に投入される価値があると見なされている可能性があります。

 航空作戦が、最先端のステルス戦闘機や精密誘導兵器といった存在に重点が置かれていることに変わりはありませんが、それと並行して、低コストで大量投入可能な「準ミサイル的航空機」を組み合わせることで、より複雑かつ対処困難な攻撃体系を構築する。そこにJ-6の新たな価値を見出しているのがわかります。

 このような動きを鑑みると、台湾海峡を巡る軍事バランスは、こうした多層的な戦力運用によって、従来の定量的比較では測りきれない段階へと移行しつつあると捉えることが可能です。

 J-6という過去の遺物が、無人化という新たな役割を与えられることで再び戦場に姿を現した事実は、軍事技術の進化が必ずしも「新しいもの」だけによって担われるわけではないことを、改めて示していると言えるのではないでしょうか。

【写真】どこかで見た形? これが中国オリジナルのUAVシリーズです

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 昔々、三菱は少数のF-104を無人機化してた時期がありましたが、その技術はどうなったんでしょうねぇ?

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  3. 「知らなかった!」SNSで話題に 高速道路の“2つ並んだ赤い三角コーン”、実は超重要な「ある合図」だった! NEXCO公式が投稿
  4. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  5. ロシアのミサイル部品工場が「大炎上」 ウクライナ軍の航空機から発射した巡航ミサイルが「直撃」か
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号