「新京成」はなぜ78年も京成と“別会社”だったのか 「陸軍線路」の争奪戦から始まった数奇な歴史

新京成電鉄は2025年4月に京成電鉄へ吸収合併されましたが、それまでの78年間、別会社として存続してきました。背景には、戦後の混乱期における親会社・京成のやむを得ない事情と、ライバル西武鉄道との激しい争奪戦がありました。

京成が新京成に松戸線を任せた理由

 こうした分立構造は、昭和恐慌による旅客需要の急減、バスの普及による競争激化で経営の合理化が求められたことで整理が進み、関東は東急・東武・西武・京成の4社、関西は近鉄・阪急・阪神の3社に集約されました(前述のように一部は戦後、再分離)。

 そんな中、戦後になっても新会社を設立して新線を建設した数少ない大手事業者が京成です。京成は1946(昭和21)年11月に新京成電鉄、1972(昭和47)年5月に北総開発鉄道(2004年に北総鉄道に改称)、1973(昭和48)年2月に千葉急行電鉄(1998年に解散)を設立。戦後に開業した路線のほとんどは、これら子会社を通じて建設されました。

 このうち沿線開発と一体的な鉄道建設を目的とした北総と千葉急行は、自治体が出資する第3セクターとして設立されました。しかし特異なのは新京成電鉄です。新京阪鉄道と同様、本体の出資で設立されながら、2025年4月に京成に吸収合併されるまで78年にわたり独立した企業であり続けたのです。

 なぜ京成は松戸線を直営ではなく、新京成に任せたのでしょうか。最大の理由は京成にとって新京成は、意図せず推進しなければならなくなった事業だったからです。

 松戸線の前身は、旧陸軍鉄道第二連隊の演習線です。戦後、軍の解体とともに施設の払い下げが始まると、政府とGHQの両方に太いパイプを持つ西武が多数の資材を取得し、自社線の復興に活用。次に狙うのは鉄道連隊の資材でした。

 西武は旧鉄道連隊幹部を入社させ、GHQとの交渉を進めますが、寝耳に水だったのが京成でした。京成は自社エリアに対する西武の「侵略」に反発し、同じく鉄道連隊出身者を起用し、GHQとの交渉にあたらせます。

【見た目いろいろ】松戸線を走る「オリジナル色」「新京成色」の電車(写真)

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