なぜ飛行機内では「トマトジュース」が人気なのか? 標高2500m相当の“味覚が狂う環境”と機内食の科学

飛行機で食べる機内食、実は地上で食べると「味が濃すぎる」ことをご存知ですか? 乗客の味覚を狂わせる「低気圧・乾燥」そして「騒音」。上空でトマトジュースがやたらと美味しく感じる、驚きの科学的理由に迫ります。

意外な犯人は「騒音」だった? トマトジュースが機内で人気の科学的理由

 味覚を狂わせる原因は、空気の状態だけではありません。近年の研究では、機内の「騒音」も影響している可能性が指摘されています。

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騒音も味音痴の原因か?(画像:写真AC)

 機内では常に「ゴー」というエンジン音(約80デシベル程度の騒音)が響いています。研究では、こうした機内に近いレベルの背景騒音が甘味の感じ方を弱め、一方で第5の味覚である「うま味」の感じ方を強める可能性が示されています。(塩味については研究や条件によって結果が分かれるため、音による直接的な影響については慎重な見方がなされています)。

 空の上でトマトジュースが人気なのは、こうした背景があるという考え方があります。トマトに豊富に含まれる「うま味」成分は、騒音の中でもはっきりと美味しく感じられるため、上空では地上以上に満足感の高い飲み物として選ばれているのではないかと推測されています。

 こうした科学的なデータに基づき、航空会社では「あえて地上よりも味を濃くする」という工夫を行っています。

 ただし、単純に塩分を増やすだけでは健康面や味のバランスに影響が出かねません。そのため、実際には昆布や鰹などの「うま味(出汁)」を強く効かせたり、乾燥した機内でも香りが立ちやすいスパイスやハーブ、オイルなどを効果的に活用したりすることで、過酷な環境でも美味しく感じられるようレシピが設計されているようです。

 機内食の“しっかり味”は、空の上ではちょうどよく、地上では“濃く感じる”。その違いこそが、高度1万mの過酷な環境下で私たちに「美味しい」を届けるための、科学に基づいた工夫の結晶なのです。

【わずか2年で消滅!】今や食べられない「幻の機内寿司」です(写真で見る)

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