高校生を乗せた「レンタカーのバス」は“違法”だったの? 磐越道事故の“グレーすぎる”背景 「バス業界の課題が亡霊のように」と専門家
福島県内の磐越道で高校生を乗せたバスが死傷事故を起こしました。正規の貸切バスではない「白ナンバー」だったことが波紋を広げていますが、「白ナンバー」のバスそのものが違法なわけではありません。いわゆる「白バス行為」との違いを整理します。
「白ナンバーでよい」か「プロに任せる」か リスクの天秤
前出したように、もっぱら白ナンバーの車両で行われる幼稚園や学校、ホテルなどの送迎業務を、貸切バス事業者に発注することもできます。いわゆる外注(アウトソース)です。遠征のような単発の仕事であれ、日々の通勤通学輸送であれ、引き受ける方は、学校や企業から運賃を受け取って運行します。
この場合は、対価を受け取ってサービスを提供する訳ですから「事業」に相当し、国から許認可を受けた貸切バス事業者でないと引き受けることができません。
白ナンバーのバス自体は違法ではありませんが、こうした業務を「プロに任せるか否か」は、運行の内容や運転手の管理体制などを考慮し、費用やリスクとの兼ね合いで決めるしかなさそうです。「近隣だけ」「毎日同じルート」「短時間」「マイクロバスなど小さめの車両」で「1~2台といった小台数」であれば、運行内容はシンプルでリスクは比較的小さめです。
しかし、今回の件のように、正規の貸切バス事業者であっても1人の運転手が1日に往復できる法令上の上限距離ギリギリといった内容であれば、費用は高くなるものの、プロに任せるべきでしょう。たとえ軽微であっても事故を起こしてしまった際の責任の取り方や、人間関係を考えても、教職員や保護者など運転を本職としない人が運転を引き受けるのはリスクが大きいと言えるでしょう。
バス乗務員の待遇アップが進む中で正規の貸切バスの運賃(チャーター代)は値上げが続いています。しかし、貸切バスを、定められた額を下回る額で運行することは法令で禁じられています。学校や保護者の立場から見れば経済的負担が拡大して大変だとは思いますが、利用者の側にも、安全性確保のためという背景を理解したうえで自家用バスと事業用バスを上手に使い分け、適切にバスを利用することが望まれています。
Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)
1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。著書に『高速バスのビジネス』(成山堂書店)、『「マーケティング感覚」の実装力』(同文舘出版)。新聞、テレビなどでコメント多数。





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