誤算でパンク寸前? なぜ新千歳空港駅はこれ以上“列車を増やせない”のか 浮上した新案の実現性は

JR北海道が新千歳空港駅の混雑緩和策として「スルー化」を検討しています。開業から30年以上が経過し、利用者数は当初の想定を大幅に超過。なぜここまで混雑するようになったのか、その背景を探ります。

現在の混雑は想定していたのか?

 快速「エアポート」の混雑が悪化しているのは、端的に言えば新千歳空港の利用者が増加しているからです。2000年代の年間旅客数(国内線・国際線合計)は概ね1700~1800万人でしたが、2015年に2000万人を突破。コロナ禍前のピークだった2019年は2460万人で、2025年は過去最多の2583万人を記録しています。ちなみに2460万人は開港時の想定最大許容旅客者数でした。

 国交省の調査によれば、新千歳空港へのアクセス手段で鉄道を選んだ割合は、2019年の平日43%、休日36%から、2023年は平日48%、休日47%へと増加しています。主な要因はバスの減少で、運転手不足による減便の影響です。ということは今後、鉄道利用者が増えることはあっても減ることはなさそうです。

 空港線の整備時にこのような事態は想定できなかったのでしょうか。新千歳空港は従来の千歳空港を拡張する形で1988(昭和63)年に開港し、現在のターミナルビルは1992(平成4)年に開業しました。

 千歳線の新ターミナル乗り入れは国鉄最末期の1987(昭和62)年3月に決定し、JR北海道に引き継がれました。ターミナルビル開業に間に合わせるという時間的制約、また発足時から厳しい経営環境に置かれたJR北海道の財政上の制約から、最低限の設備で整備せざるを得ませんでした。

 整備着手した1988年当時、JR北海道は1975~1986年の千歳空港旅客数の実績をもとに、1992年の航空機旅客数を976万人、2015年でも1183万人と予測していました。これは前述の通り、実際の値の半分程度です。

 また、空港アクセスの交通機関分担率は鉄道35%、バス30%と見積もっています。旧千歳空港駅(現・南千歳駅)は27%だったので、ターミナルビル乗り入れで増加を見込んだものの、現在の50%近い水準とは大きく乖離しています。

 新千歳空港は開港と同時にバブル経済を迎えたことで、1990(平成2)年の利用者数は1323万人を記録。これらを踏まえ、列車計画は1988年時点の4両編成1日あたり100本から6両編成118本へ、輸送力を70%以上、上方修正して開業しています。

 1990~2000年代の空港旅客数は1400~1800万人で推移したので、当初想定の設備・列車計画の範囲で対応できましたが、2010年代に入って、いよいよ想定との乖離が埋めがたいものになった、といえそうです。

【想定超え】新千歳空港の利用者数の推移(グラフ)

Writer:

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

2件のコメント

  1. 一番は複線化するのがいいだろうけど、JR北も新幹線に力入れすぎてて金がない。

    何年か前にちょろっとだけ出た空港駅から旧美々駅に地下でつないで苫小牧方面への輸送を良くしたいってのは実現しなさそう。ディーゼル車は地下通れないだろうしこれも複線化じゃないと意味ないだろうし

  2. 新幹線に注力しても道央の利便性は大して向上しませんよ

    そこに根を張り生活する方々の事を第一に考えてくださいな