地方鉄道で“新車ラッシュ”なぜ? 「67年ぶり」「86年ぶり」も 背景にある事情とメリットは
かつて、地方鉄道は大手私鉄や国鉄(JR)の中古車両の受け皿でした。しかし、近年では新造車両の導入も増えています。今回は電車の事例を中心に、地方鉄道の新しい顔となる車両について取り上げます。
個性あふれる地方鉄道の新型車両
こうした新型車両は、地方鉄道の「顔」ともいえる存在であり、各社ともこだわりのデザインとなっています。静岡鉄道のA3000形は「Activate(活性化させる)」「Amuse(楽しませる)」「Axis(軸)」の三つのAを掲げており、それが形式名の由来です。
総合車両製作所の「sustina(サスティナ)」と呼ばれる軽量ステンレス車体を私鉄として初めて導入しましたが、行先表示器には白での行先表示以外だけでなく、多彩なイラストも表示できるのだとか。オールロングシート車ですが、つり革は全国初の2段つり革で、一つのつり革に高さの異なる二つの取っ手が付いています。荷物棚は一部だけ設置されており、開放感のある車内です。
なお、外観は7編成が静岡県にちなんだ7色で「shizuoka Rainbow trains」と呼ばれています。このうち5編成は全面広告車両に対応して、車体は無塗装とされています。
一畑電車7000系は1両当たり約2億1000万円ですが、導入費用は国と沿線自治体が負担しています。設計情報はJR四国7000系電車のものが無償で提供されています。
JR四国7000系と同じく、ロングシートとクロスシートを組み合わせており、車両中央部にマスコットキャラクター「しまねっこ」のオブジェを設置しています。
出雲大社への観光路線でもあり、車内での公衆無線LANサービスも提供されています。
同社は、デュアルシートを採用した8000系も2025年に導入していますが、壁面と床が同鉄道の古豪車両・デハニ50形をイメージした木目調となっています。
なお、そうした動きに関わらず、独自のスタンスを貫くのが遠州鉄道です。同社の主力2000形は1999(平成11)年から継続して製造されている形式で、2024年製造車両も外観や内装に大きな差はありません。
「1000形の導入から40年以上たちますが、現在でもそれほど古さを感じさせないデザインだと考えています。また、今のデザインで長い間地域の皆様に愛着を持っていただいていると感じています」(遠州鉄道広報室)という理由で、新車投入はなされないのだとか。
同鉄道には、架線電圧はあまり一般的ではない750ボルトであることや、2両編成同士を連結制御する関係で、中古車導入が難しいことも、デザインを変えない理由とのことです。
各社それぞれの理由から生まれる地方鉄道の新車たち。地域を走る新しい「顔」として、それぞれの地方を活性化してほしいものです。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。





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