なぜ日本に「消防飛行機」はないのか? 相次ぐ山林火災、ヘリでの対応は限界なのでは… 課題あるが再検討すべき理由
近年、岩手県で平成以降最大規模の山林火災が相次ぎ、自衛隊ヘリによる空中消火の限界も浮き彫りになっています。被害の甚大化を防ぐため、飛行艇など「消防用固定翼機」導入の可能性や課題について解説します。
ヘリコプターの空中消火で十分か?
このように全国で相次ぐ山林火災に対してヘリコプターによる空中消火活動が行われていますが、昨年2月の大船渡市の山林火災では、住民1人が死亡し、約90棟の建物に被害が出ました。
山林火災では空中だけでなく地上からの消火活動も重要ですが、消防車両が火元付近まで近づけないほか、急斜面では消防隊員がタンクを背負って消火にあたるなど、市街地の火災に比べ鎮火までに時間がかかります。一方、空中消火では、ヘリコプターは飛行速度が遅いため、風がない時に大量に散水すると、水が塊となって落ちることから、下に集落や活動中の消防隊員がいると散水できないといった制約があります。
こうした欠点を考えると、ヘリコプターより速く、より多くの水を搭載可能な「消防用固定翼機」を空中消火活動に使ったら、という考えが出てきます。では、アメリカやカナダ、地中海沿岸諸国などで実績のある消防用固定翼機が、なぜ日本ではこれまで使われてこなかったのでしょうか。
その理由として挙げられているのが、山が急峻で谷が深い地形や、集落が山に近い、火災現場が狭い、といった日本の山林火災特有の制約です。このような環境下では、固定翼機が得意とする「面での大量散水」より「ピンポイントでの散水」が適しており、ゆえにヘリコプターが多用されてきました。
また、ヘリコプターと違い固定翼機には滑走路が必要ですが、日本の地方空港には大量の給水を短時間で行える施設がないなど、消防用固定翼機の活動拠点として用いるのに不十分な面も挙げられます。さらに、夜間の運用制限がある空港では、24時間態勢での対応が困難という課題もあります。





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