操縦はヒヤヒヤ!? 万能の垂直離着陸機「ハリアー」と似て非なるF-35B 飛び方の違いとは?
2026年6月、アメリカ海兵隊での40年におよぶ役割を終えた垂直離着陸戦闘機ハリアー。実はパイロットには曲芸なみの緻密な操縦が要求されていました。
V/STOL戦闘機の完成形、AV-8Bハリアー
敵の奇襲攻撃で滑走路が破壊されてしまったらどうする? そんな想定からイギリスのホーカー・シドレー社が開発し、英空軍が採用したのが、世界初のV/STOL(垂直/短距離離着陸)戦闘機「ハリアーGR.1」です。
いざとなれば、「ハリアー」は長大な滑走路を必要としません。機体中央のエンジンから伸びた4ヵ所のノズルを真下に向けることで、まるでUFOのようにその場で垂直離着陸が可能なのです。さらに、ホバリング状態では機首や翼端のRCSノズルから圧縮空気を放出することで姿勢を制御し、レバー操作によりノズルを徐々に後方へ傾ければ、水平飛行に移ることができます。また、これと逆の手順を踏めば減速から着陸に移ることも可能というメカニズムです。
このような「ハリアー」のV/STOL性能が、水陸両用作戦での近接航空支援を求めるアメリカ海兵隊の目に留まり、1971年にAV-8A「ハリアー」として導入されました。しかし、AV-8Aは燃料消費が激しく、兵装搭載量と航続距離も不足気味でした。
この問題を解決するため、マクドネル・ダグラス社が米海兵隊向けに開発した改修型がAV-8B「ハリアーII」です。機体に炭素繊維複合材料を導入して軽量化を実現し、機体の下面にリフト改善装置(LIDS)を追加した機体です。
初期型の「ハリアー」では、垂直着陸時に地面に叩きつけられて跳ね返る高温排気によって、機体を下方に吸い込むような、危険な空気の動きが発生していました。これを改善したのがLIDSで、排気を閉じ込める「ガス・クッション」が形成され、最大約540kgもの追加揚力を生み出せるようになったのです。
他にも、姿勢制御を巡る細かい不具合が一挙に解消されたAV-8Bは、基本的には初期型と同じ「ペガサス」エンジンですが、兵装搭載量は約2倍に増加しました。





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