操縦はヒヤヒヤ!? 万能の垂直離着陸機「ハリアー」と似て非なるF-35B 飛び方の違いとは?

2026年6月、アメリカ海兵隊での40年におよぶ役割を終えた垂直離着陸戦闘機ハリアー。実はパイロットには曲芸なみの緻密な操縦が要求されていました。

実は超危険だったホバリング制御

 初期型から大幅に性能が向上したAV-8B「ハリアーII」ですが、それでも制御システムはアナログのままであったため、パイロットはV/STOL飛行時に曲芸飛行のような腕前を要求される場面もありました。特に難しいのが、通常飛行から減速してホバリングに移る、遷移飛行時の制御です。

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2026年6月3日、アメリカ海兵隊のサンダウン・セレモニー(装備退役式)で最後の垂直離着陸を披露するAV-8B「ハリアーII」(画像:アメリカ海兵隊)

 通常の戦闘機は、姿勢制御用の操縦桿を右手で、推力を司るスロットルは左手で操作します。しかしAV-8Bには、スロットルレバーのすぐ横に、排気ノズル角度を調整する制御レバーが存在します。パイロットは、減速からホバリングに移る時に、左手だけでスロットルレバーと排気角度調整レバーの両方を操作しなければなりませんでした。

 さらに、減速にともない機体を支える力は、主翼が生み出す揚力から、エンジンの下方噴流へと移り変わりますが、これが時速280kmあたりを境に、一気に制御系が切り替わる仕組みなので、パイロットは突然発生する操作系の変更に備え、常に緊張を強いられました。そして、どれだけ注意していても、機体の挙動が不安定になる瞬間が生じました。

 加えて、着陸操作時には、接地直前にインテークが熱気を吸入して推力が低下した場合や、横風による姿勢の乱れなどが生じた場合にも、パイロットの反射神経とアナログ制御で対処しなければなりませんでした。実際、AV-8Bの事故の多くが、通常飛行から垂直着陸への遷移時に発生しています。

【画像】長い歴史に幕を閉じるアメリカ海兵隊「ハリアー」戦闘機

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