「ガンダム」の巨大ホバークラフト兵器はなぜエアクッションもなく浮くのか Z以降に廃れた理由とは?
ホバークラフトは浮上航行を可能とし、現実では地上と海上の双方で移動できる水陸両用船舶のことですが、アニメ「機動戦士ガンダム」ではちょっと浮く方法などが異なります。
浮くための力はジェット推進?
ガンダムシリーズのホバー兵器は、巨体を熱核ジェットエンジンで浮上航行させています。
ジオン軍も全長48m、全幅44.7m、最高速度232km/hでモビルスーツ3機を搭載可能な大型陸戦艇「ギャロップ」や、一人乗りの歩兵用ホバークラフト「ワッパ」、高速艇「シーランス」などが存在しますが、最大の存在感を占めるのが重モビルスーツ「ドム」でしょう。
「ドム」は全備重量90トンの巨体ながら、360mmジャイアント・バズを主兵装として、最高速度380km/h(諸説あり)の高速を発揮可能で、巡航速度90km/hで5時間ホバー走行が可能という、驚くべき性能を持っています。
ガンダムの世界で、このようなホバークラフト兵器が実用化されているのは、架空の粒子であるミノフスキー粒子の存在が大きいでしょう。この粒子により、レーダーによる遠距離精密誘導は不可能となり、小型核融合炉も実現したことは、ホバークラフトの弱点である「脆弱性」「航続力が短い」を解決し得るからです。
核融合炉の開発により、高出力ファンを常時回せることによって、燃費の悪さを解決できたということです。また、ドムの脚部のようにゴムスカートを使わない空気噴射ノズルでの浮上航行は、装甲化可能な利点があり、脆弱性も解消したわけです。
また、宇宙開発が長く続いたガンダム世界では、姿勢制御スラスターを活用した姿勢制御も発達しており、弱点が解消されていると考えられます。
その一方で陸戦用の主力戦車である61式戦車、ガンタンク、マゼラアタックなどは履帯(キャタピラ)式ですが、これは射撃精度に必要な安定性でキャタピラが勝ったのでしょう。このように異常発達したガンダムシリーズのホバー兵器ですが、続編『機動戦士Zガンダム』以降では、なぜかほとんど登場しません。
これは主戦場が宇宙に移行したこともありますが、それ以上に技術の進歩により駆逐された側面が大きいのでしょう。大型浮遊兵器はより進歩した反重力システムと言うべき「ミノフスキー・クラフト」で置き換えられ、モビルスーツはスラスター総推力の向上や、変形機構の導入により、より高機動化を実現したため、不要な技術になったものと思います。
安易に前作を踏襲するのではなく、SF的見地で兵器の進歩も描写している「ガンダム」シリーズ。SFロボットアニメの先駆けらしい部分と感じられる次第です。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。





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