ドイツ防衛大手「日本に兵器工場」進出報道 いったいナゼ?何をつくる? “三原則”改定で状況が一変!?
ドイツの防衛大手が日本に生産拠点を設けることを検討していると報じられました。背景にはウクライナ戦争以降高まるUAS(無人航空機システム)の脅威と、日本の防衛政策の変化があるようです。
UGVでも浮上する「国産か、輸入か」問題
前に述べたように陸上自衛隊はラインメタルのミッションマスターSPと、エストニア製のUGV「テーミス」を導入して試験運用を行っています。これらはあくまでも試験用で、量産機は国内メーカーに開発・生産させるつもりだったようです。その後、防衛装備庁は人員や車両との協調行動や半自律・自律システム化に向けた「UGV(無人地上車両)システムに関する研究試作」を三菱重工業と契約しています。
一方、2026年6月に防衛装備庁は「汎用中型UGV(攻撃型・障害処理型)」の取得に向けた情報提供を求めてもいます。
あえて別々の事業としたのは、三菱重工業が開発を進めているUGVでは、陸上自衛隊の要求を充たすことができなかったのかもしれません。その場合、実績のある海外メーカーの製品を購入すれば早期の戦力化が見込めますが、防衛省はUGVをはじめとする無人装備を国産化する方針を掲げており、単なる輸入ではその方針と齟齬が生じます。
仮にラインメタルが日本企業と合弁企業を設立し、その会社でミッションマスターSPを生産すれば、国産化と早期の戦力化という命題は実現できます。
狙いはアジア太平洋市場への「輸出拠点」か
ラインメタルの35mmリボルバーカノンとミッションマスターSPには、アジア太平洋諸国からも多くの引き合いが来ています。
日本はこれまで、外国製の防衛装備品をライセンス生産で導入しても、殺傷能力のある防衛装備品は自衛隊でしか使えませんでした。しかし、日本政府は2026年4月に防衛装備移転三原則を改定し、日本の防衛に資するという条件付きながら、殺傷能力のある防衛装備品の輸出が可能になりました。
ラインメタルがアジア太平洋諸国に何を売りたいのかはまだ不透明ですが、ドイツをはじめとするヨーロッパなどに比べて低賃金で、質の高い日本の労働力を確保して生産を行い、それをアジア太平洋諸国に売っていこうとラインメタルが考えるのは、なんら不思議なことではないと筆者は思います。
また、日本の防衛産業の市場拡大や、自衛隊の導入する防衛装備品の取得費の低減につながる可能性がありますので、日本政府と日本企業は前向きに考えてもよいのではないかと思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。





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