ヤマハ「モトロイド」は「生きもの」たるか 開発者に聞く、その目指すところとは

「機械」を生きているように感じさせるには?

 では、その『乗りものの生きもの化』という概念を、具体的にどう実現したらいいのでしょうか。

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「モトロイド」開発に携わった、ヤマハ発動機 技術本部の浅村欣司主査(右)と、川島雅也主事(2018年1月31日、大西紀江撮影)。

「プロジェクト初期には、『本物の馬みたいな見た目のものを作る』という話もありましたが、そういうことではないですよね。人に『この機械は生きている』と感じさせる要素というのがいくつかあるはずだ、と。それは、機械そのものが自律して動く様子、所作。簡単に言うと、『呼んだら自分で立ち上がってこっちに来る』ということだ、という結論に至ったのです」(川島さん)。

 それを実現させるために必要なふたつの技術を、「モトロイド」は搭載しています。まず、自分で重心移動して立ち上がるという「自律機能」。そして、オーナーの顔を認証して指示に応えるという「AI機能」です。

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「モトロイド」開発の最初のコンセプトは「乗りものの生きもの化」だったという(画像:ヤマハ発動機)。

 ひとつめの「自律機能」を実現したのは、AMCES(アムセス)というヤマハ独自の技術です。

「『重心を移動してバイクを自立させる』という考え方は、社内に10年以上前からありました。でも、それは『ただ立っている』という考え方。バイクの『自立』機能だけなら、これまでにもある技術です。それだけでは感動はないのでは、と私は感じました。そこから、重心移動をする可動範囲を広げることで、自分で起き上がって『自律』することが可能ではないか、というところに繋がったのです」(浅村さん)。

 実際、その「起き上がり」の様子こそが、会場での驚きと興奮を呼んだのだと、現場にいて感じました。

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