ヤマハ「モトロイド」は「生きもの」たるか 開発者に聞く、その目指すところとは

初めて立った先代のコードネームは「クララ」

 ところで、「モトロイド」という名前はいつ決まったのでしょう。「2017年5月か6月、『東京モーターショー』に向けて正式名称を決めようと、この名前になりました」(浅村さん)。それまでは『ライブマシン』というコード名で呼んでいたのだそうです。「名前を付ける時はチーム全員でわいわい話し合いました。かなり後の方になって、デザイナーが『モトロイド(MOTOROiD)』という名前を出し、満場一致という感じでした」(川島さん)。MOTORとOID(~のような)という語を足した名前で、「シルエットはバイクのようだが、レイアウトはバイクでなはい」という「モトロイド」の性質をよく表したネーミングです。

 ちなみに、試作機の1号機は「鉄骨くん」と呼ばれていたそうです。「機能の検証のためだけに作られていたので、骨格しかなかったんです」(浅村さん)。そして、2号機は、なんと「クララ」。「2号機で、初めて自律に成功したんです。16年末に初めて立った時に、みんなで『クララが立った!』、『クララが立った!』と喜んだんですよ」(浅村さん)。「初めて立った時は嬉しかったですね。まだ安定性がなくてフラフラしていましたが、それはそれでかわいかったです」(川島さん)。それで、「クララ」。初めて立った時のプロジェクトチームの喜びが伝わってくる、いい名前です。そして、3号機が現在の「モトロイド」。「実験中は、チームのうちのひとりが、自分に似たレゴのミニフィグをお守り替わりに乗せていましたね」。「東京モーターショー」も、本番ギリギリまで乗せていたのだとか。『宇宙兄弟』を思わせる、愛情あふれたエピソードに、胸が熱くなりました。

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「モトロイド」のシート部分、ライダーとの一体感を生む「ハプティックHMI Rear」。1号機「鉄骨くん」、2号機「クララ」を経ての「03」(画像:ヤマハ発動機)。

 さて、そんな「モトロイド」はいま、どうしているのでしょう。2018年1月末現在、2台あるうちの1台は、インドに出張中。海外、特にASEANから、「実際に見たい」というリクエストが非常に強いのだそうです。そしてもう1台は、現在もテスト中だそうです。

「今の時点では、安全評価試験項目の10%もクリアしていないと思います。例えば、『AMCES』でも、人が乗ったり、路面の状態が悪かったりした場合のことも想定したテストが必要です。さらに、今後どうしていこうかという話し合いも進んでいるので、やることはたくさんあります」(浅村さん)

 たくさん愛情を受けながら、現在もすくすく成長中の「モトロイド」。次に会える機会を、楽しみに待ちたいと思います。

【了】

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