ヤマハ「モトロイド」は「生きもの」たるか 開発者に聞く、その目指すところとは

開発期間は7か月! そしてお披露目へ

 そもそも、「モトロイド」のプロジェクトはいつ頃始まったのでしょう。企画がスタートしたのは、2016年のこと。最初の半年は、川島さんひとりで概念の検証をされていたそうです。その後、「AMCES」や「画像認証AI」の先行技術検証にかかり、「モトロイド」チームとしては、2017年2月にキック・オフ。それが同年9月には、役員プレゼンにかかっていたという、驚きのスピード展開だったのだそうです。メンバーは、社内の企画、設計、実験、制御、デザインの5つの部門から20~30人が集まりました。

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「モトロイド」のジェスチャーコントロールは「実際にやると愛着が深まるんですよね」と話す浅村さん(2018年1月31日、大西紀江撮影)。

「今回は、私が関わっている3D設計プロセスを考えるチームに『モトロイド』を組み込んで、3D CADのテクノロジーを使っていかに短期で開発をするかというトライアルを兼ねていたのです。もうひとつ、『モトロイド』は生産車ではなく、『観念検証実験機』というかたちなので、実車化に伴うテストを大幅に省略しています」(浅村さん)。さらに、ヤマハという会社が持つ自由で柔軟な風土、そして「オープンイノベーション」として外部の技術協力を得たことで、「モトロイド」は、あっという間に私たちの前に登場することとなったのです。

 初お披露目の「東京モーターショー」で大好評だった「モトロイド」。川島さんによると、出展にはひとつの不安があった、というのです。「『もしかすると、バイク好きには好まれないのでは』という懸念がありました。でも、そんなことは全くなく、むしろ、予想外の好反応がありました」(川島さん)。

 好反応のひとつは、「モトロイド」の今までにない魅力による、新しい層からの支持でした。これまでバイクに興味がなく、免許も持っていないような10代、20代の若者が強い反応を示したということです。「『生き物』という、これまでのバイクにない価値観に興味を持ってもらうことで、新しい接点ができたと感じています」(川島さん)。実は、「東京モーターショー」の際、「モトロイド」の動きは、わざとゆっくりさせて、生き物らしさを出したのだそうです。「柳社長の呼びかけに応じてゆっくりと身体を起こしたように見せるために、意識的に間を持たせた設定にしていたのです」(浅村さん)。あの動きはAMCESの都合ではなく、演出だったという新事実。驚きです。

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