ヤマハ「モトロイド」は「生きもの」たるか 開発者に聞く、その目指すところとは

自律とAIが必要なワケ

「『AMCES』は、マシンの車体中心を貫く軸を回転させて、バッテリーやリヤのホイール周りなどの位置を変え、重心を移動させてバランスをとるものです。言葉にすると難しいですが、機構としてはごくシンプルで、振子と同じ要領です。バッテリーなどをおもりにして、『倒れそうなものの反対に重心を動かせば倒れない』というのを繰り返し、揺れがだんだん小さくなって次第に安定するという原理です」(浅村さん)。

 動きとしては、『やじろべえ』を想像していただけると分かりやすいかもしれません。ただ、実際に見ると「そこが動くか!?」というパーツの意外さと、一瞬両手を差し出したくなるほど大きく揺らぐ様子に、釘付けになります。さらにその仕草は非常に生き物っぽく、まさに大型動物の立ち上がり方そのものという感じです。

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「AMCES」の要、本体中央下部のおもり部分。バッテリーの重さを利用して車体のバランスをとっている(画像:ヤマハ発動機)。

 もうひとつの技術は、「画像認証AI」。マシンのフロント部分に2眼カメラを搭載し、顔認証機能でオーナーを認識して、その指示に従うというものです。また、ジェスチャー認識機能も備え、手招きや停車の合図に反応して動作します。顔認証というセキュリティの高さはもちろんですが、「手招きしたら自分の所にマシンがやってくる」という高揚感がたまらない機構となっています。

「本来はオーナーしか認識しませんが、ショーなどのデモ用には、誰でも動かせるモードにして、ジェスチャーコントロールを体験してもらっています。これが好評で、実際にやると愛着が深まるんですよね。私たちでさえ、最初にやった時はなんとも言えない感動がありました」(浅村さん)。

 それはそうでしょう、これは一度、体験してみたいものです。ただ、ごく稀に、うまくできない人もいるのだそう。ジェスチャーの出し方によって認識されない、ということなのですが、なんだかそれも生き物っぽくてワクワクします。さらに、川島さんの「『モトロイド』、浅村さんの言うことはよく聞くんですよね」という発言に、浅村さんが照れくさそうにしている姿を見て、うらやましさがさらに高まりました。

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