ヤマハ「モトロイド」は「生きもの」たるか 開発者に聞く、その目指すところとは

根底に「生きものに乗ることへのあこがれ」?

 ちなみに国内では、「ナイト2000」(編集部注:『ナイトライダー』に登場する主人公のパートナーで、人工知能を搭載した自律行動可能なクルマ)と共に、もう少し上の世代からは「『スーパージェッター』(編集部注:1965〈昭和40〉年から翌年にかけTBS系列局で放映されていたSFアニメ)の『流星号』」の名前があがるのだそうです。

「若い方からは、『キノの旅』(編集部注:2000年より電撃文庫にて刊行されているライトノベルおよびそれを原作とするアニメ。主人公の乗る二輪車が人語を話す)という作品名も聞きました。そもそも、『名犬ジョリー』ですとか、『もののけ姫』など、人は『生きものに乗る』ということに憧れがあるのではないでしょうか。『モトロイド』にも固まったイメージがあるより、見た方それぞれがイメージを膨らませて判断してくれるといい、と思っています」(川島さん)

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「モトロイド」の開発には『人と機械の関係性を変える』というテーマもあったという川島さん(2018年1月31日、大西紀江撮影)。

 ちなみに、川島さんの原体験は「『バビル2世』(編集部注:1971〈昭和46〉年に発表された横山光輝原作の漫画およびアニメ)のロデム(編集部注:普段は黒ヒョウの姿をとる、どんな姿にも変身できる生命体)」だそうです。そう考えると、人は乗り物に、愛着や信頼関係といった感情を求め続けてきたのかもしれません。

「『モトロイド』の開発には、『人と機械の関係性を変える』というテーマもありました。ヤマハ発動機には、『人機官能』という開発思想があり、ヤマハ・ブランドとして出すものには、必ずその思想が入っています。例えばステアリングやエンジンフィールなど、人と機械には接点がありますが、この接点に感動を生み出すというのが、我々のプロダクトである、と考えています。そこをもう少し先の目線で見た時に、どう新しい関係性を作れば、よりお客様とプロダクトの絆が深まるか。これが、最も考えている部分です」(川島さん)。

 今後、人間とモビリティの関係はどのように進化、そして深化していくのでしょう。後年、乗り物の歴史を振り返るった時、「モトロイド」の存在はとても大きいものになっているのではないかと思います。

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