長~い「連節バス」、大量輸送の主役となるか 都市部などで導入進む その歴史と現状(写真23枚)

日本初の連節バスは? 80年代「つくば博」で広く知られる

 日本初の連節バスは、1950(昭和25)年2月にいすゞ自動車が試作製造した「BXツイン」といわれています。当時のベストセラーバスであったいすゞ「BX91」をベースに製造され、「双子バス」とも呼ばれていました。全長は11m、定員は75名で、運転者1名と車掌2名が乗務。連節部は上下方向にしか折れ曲がらない代わりに、後部車体にある第3軸が曲がる構造を採用していましたが、小回りが効かないなどの理由で普及には至らず、製作はこの1両のみ。同車は青森県の八戸市交通部で活躍しました。

 連節バスが広く知られるようになったのは、1985(昭和60)年に茨城県つくば市で開催された「国際科学技術博覧会」(科学万博つくば '85)ではないでしょうか。会場へのアクセス手段として、スウェーデン・ボルボ製(ボディは富士重工業〈現・スバル〉製)の連節バスが100台導入され、万博会場と常磐線の臨時駅である万博中央駅(現在のひたち野うしく駅の場所に会期中のみ開設されていた)のあいだを結ぶシャトルバスとして使用されました。

 博覧会閉幕後は、100台のうち80台がオーストラリアへ輸出され、19台は東京空港交通(東京都中央区)に移籍し、TCAT(東京シティエアターミナル)~成田空港間のリムジンバスや空港内のランプバスとして使用されました。また、最後の1台は富士重工業伊勢崎製作所(現・桐生工業伊勢崎工場)に保存のため引き取られています。東京空港交通で空港内ランプバスとして使用された3台はさらに、1999(平成11)年に旭川電気軌道(北海道旭川市)へ移籍し、冬期の通学路線用として2004(平成16)年まで使用されました。

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京成バス「新都心・幕張線」の連節バス(須田浩司撮影)。
京成バス「新都心・幕張線」連節バス車内。前後の車体は幌でつながっている(須田浩司撮影)。
京成バス「新都心・幕張線」の連節バス(須田浩司撮影)。

 1998(平成10)年にはボルボが連節バス(ボディは富士重工業製)を日本で正式発表し、京成電鉄(分社化を経て京成バス)が千葉県でJR幕張本郷駅~幕張新都心間の路線バスに導入しました。この京成バスの車両を使用して、金沢市では2004(平成16)年11月に連節バスの運行実験も行われています。

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コメント

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9件のコメント

  1. 運賃計算係のパートを載せ、自動運転+バス専用道+連接バスなら路面電車よりも遥かに低コストな公共交通機関ができそうですね

    • 自動運転なら、通常バスを2倍の頻度で走らせてもらった方が乗客は待たないで済む。一人の運転手で大勢運べるところに連節バスの意味があると思う。

  2. 当然にドライバーさんの給与もそれなりなんだよね?
    また車両枠のアホな緩和を乱発して一人の負担増やして、一人二役の一人もそのうちに逃げ出すぞ

  3. バス停の延伸工事もほぼ完了し、近々連接バス運行開始する予定です。

    が、未だに排ガス規制がなく古いディーゼルエンジンから窒素酸化物撒き散らしながら満員のバスで坂を登ってるのを見ると、倍の人数乗せてどんな速度になるのやら…

  4. 元万博バスの流転の人生に少しホロッとした。
    千葉と神奈川のは知ってたが、意外に走ってて驚いた。

  5. 必要性ある路線への導入は好ましくも、最近では「客寄せ」の為への導入も見られて政策が安易すぎる。
    横浜市もみなとみらい地区に新規導入を計画(決定)していますが連接バスを走らせる程の需要もなく、既に営業している「あかいくつ号」で充分に足りている。にもかかわらず連接バス導入って???理解出来ない。ひと昔前に「二階建てバス」が流行って各地に導入されるも飽きられてしまい殆どが全滅していますよね? ムダな資金・税金の活用方法だよ!

  6. 人員不足を物の巨大化で補う頭の程度が信じられん

  7. 『「連節バス」、大量輸送の主役となるか 都市部などで導入進む』とありますが、現実的には「都市部でしか導入できない」でしょう。
    後ろの写真が少ないですが、そのうちの1枚、次の文字があります。
    「全長約12m 追い越し注意」
    普通のバスですらバス停での追い越しが大変なのに、その約倍のバスとなったらさらに追い抜きが大変でしょう。
    千葉市に住んでいたことがあるのでわかりますが、この路線は片側2車線です。つまり、追い抜き時対向車の心配がいらない。

  8. これからの時代はLRTよりBRT。鉄道よりも車両も設備も安価だし大量輸送もできる。
    無人運転ももう夢ではない時代になってきた。ますます普及してほしい。