米空軍新ジェット練習機は「スマホ」 ボーイング×サーブの最新鋭機、いずれ日本にも

ほかは「ガラケー」、ボ×サ新型機は「スマホ」

 筆者はサーブのスタッフから新型練習機についての説明を受けた際、「T-50Aなどの練習機は携帯電話でたとえれば『ガラケー』だが、ボーイングと共同開発する新型練習機は『スマートフォン』だ」という言葉を耳にしました。

 筆者はこれを聞いて、タッチパネル式の液晶ディスプレイをコクピットに採用しているため、このような表現をしたのかと思ったのですが、サーブのスタッフによればそれだけではなく、新しい戦闘機や訓練環境が登場した時、スマートフォンと同様にアプリ(ソフトウェア)を更新するだけで、ディスプレイの表示などをその訓練に最適化できるのだそうです。また、地上に設置されたシミュレーターともデータリンクを介して接続して訓練を行なう能力も備えており、このあたりもサーブが「スマートフォン」と評する理由のひとつなのかもしれません。

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飛行試験を行なうボーイング×サーブの新型練習機の試作機。初号機は2016年12月20日に初飛行している(画像:サーブ)。

 スウェーデン空軍は有事の際、戦闘機の整備時間を短縮して戦闘に投入できる機体を増やすことと、召集した予備役兵が航空機の整備を担当することを想定して、同国空軍が運用する戦闘機の整備を極力簡単にするようサーブに求めてきました。このため現在スウェーデン空軍が運用しているJAS39「グリペン」をはじめとするサーブ製の戦闘機は、他国の同クラスの戦闘機に比べて、整備に要する時間が短いことで知られています。

 ボーイングとサーブの新練習機には、多くの工具を使用せずに機体の分解や組み立てを可能にするといった、サーブが長年培ってきた整備を簡単にするためのノウハウが盛り込まれているいます。前にも述べたようにT-38は整備のしやすさから高い稼動率を維持してきました。おそらくアメリカ空軍は後継機にもT-38と同様の整備のしやすさを求めていた可能性が高く、この点も採用を勝ち取る上で、有利な要素となったのではないかと考えられます。

 アメリカ空軍は9月27日にボーイングとの間で、475機以上のT-Xと120基のシミュレーターの契約を締結していますが、おそらく将来的には1000機以上を導入すると見られています。。またスウェーデン空軍も現在運用している、「サーブ105」の後継機として、T-Xを導入する可能性は高いと言えるでしょう。

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