米空軍新ジェット練習機は「スマホ」 ボーイング×サーブの最新鋭機、いずれ日本にも
いずれ日本も導入か
T-38はトルコ空軍、ポルトガル空軍、台湾空軍、韓国空軍にも輸出されており、T-Xも、将来的には輸出される可能性が高く、その輸出候補国には日本も含まれているのではないかと筆者は思います。
現在の航空自衛隊の戦闘機パイロットの養成は、初等練習機の「T-7」と中等練習機の「T-4」による基本的な操縦訓練を経た後、アメリカ空軍に留学する一部の要員を除いてF-15戦闘機の複座型「F-15DJ」、またはF-2戦闘機の複座型「F-2B」で戦闘機操縦課程を終了して実戦部隊に配備されますが、新たに導入された「F-35A」戦闘機には複座型が存在せず、シミュレーターでの訓練を重ねた後に、F-35Aの実機に搭乗することになります。
T-4は飛行安定性が高い優れた練習機ですが、1980年代に開発されたためコクピットにはアナログ計器が並んでいます。そのT-4からシミュレーターで訓練を重ねるとはいえ、近代的なグラスコクピットを備えたF-35Aに移行するのは、新人パイロットにとって容易なことではないとの見方もあります。また現在開発手法が検討されているF-2後継機も単座型のみが開発される可能性が高いと見られています。212機(試作機含む)が生産されたT-4は、まだ運用寿命を長く残している機体も多く、今すぐ新練習機が必要というわけではありませんが、航空自衛隊も将来的にはグラスコクピットを備えた近代的な新中等練習機が必要になることは間違いありません。
航空自衛隊は草創期にアメリカから供与されたT-33練習機を除くと、中等練習機は国産の「T-1」と「T-4」を導入してきました。日本の航空産業は中等練習機の機体やエンジンを開発する能力を十分備えていますが、単なる練習機ではなく、ソフトウェアの更新だけで訓練環境の変化に最適化したり、シミュレーターと連接した訓練を行なったりといった「練習機システム」の開発を単独で行なうのは、技術面はともかく、財政面でやや荷が重いのではないかと筆者は思いますし、それゆえに今回アメリカ空軍に採用された新練習機の航空自衛隊への導入も、真剣に検討していくべきなのではないかとも思います。
【了】
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