つまらない戦闘機F-35の大量調達が妥当な理由 いずも型への艦載だけじゃない目的も

つまらないことが進化の証

 筆者のような、たまにシミュレーターに乗る人間に「あまり面白くない」と感じさせるF-35の特徴は、今後の日本が戦闘機戦力を維持していく上で、大きな武器となります。

 アメリカ空軍のチャック・ホーナー退役空軍中将は、作家のトム・クランシー氏との共著『暁の出撃』のなかで、「F-16戦闘機を操縦するには、ピアニストのような技能を身につけなければならない。しかも、一度に2台のピアノを演奏する技能をだ」と述べています。

 F-16には、パイロットの操作を電気信号に変換し操縦翼面(翼の舵になる部分)を動かす「フライ・バイ・ワイヤ」を実用戦闘機として初めて採用したほか、多機能液晶ディスプレイを採用してアナログ式計器を減らすなど、F-15戦闘機などに比べてパイロットの負担を大きく軽減したことで知られていますが、それでも任務飛行中のパイロットには、常人離れした運動神経や集中力が要求されます。

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「国際航空宇宙展2018東京」にて、ロッキード・マーチンのブースに展示された、F-35Bの大型模型(竹内 修撮影)。

 新防衛大綱のなかでも指摘されていますが、日本は少子高齢化と人口減少が進んでいるほか、LCC(格安航空会社)の広がりや、中国、東南アジア諸国などの経済成長によって民間航空路線は拡大の一途をたどっており、そうした要因からパイロット不足が深刻化しています。このような状況が続く限り、将来、航空自衛隊の戦闘機パイロットの確保が困難になることは間違いありません。

 前にも述べたようにF-35は、「自分で戦闘機を操縦して戦っている」という感覚に乏しい、すなわち、コンピューターが膨大な情報を整理してパイロットに必要な情報を提供するといったサポート能力を備え、パイロットの操縦や戦闘時の負担を減らしてくれる戦闘機であり、パイロットに求められる常人離れした能力の基準を、F-15戦闘機などに比べて大きく下げることができます。少子高齢化と人口減少の進む日本では、F-35のように機体が人間をサポートしてくれる能力を持つ戦闘機でなければ、将来も戦闘機戦力を維持していくことはできないと筆者は思います。

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コメント

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4件のコメント

  1. ただ実際問題CTOL(モードで使う)機はまだしもSTOVL(モードで使う)機ではエンジンの排気で滑走路が”焼く”訳で、各地というほど使えるところがあるかと思うけどな。

  2. 西側諸国の機体で選ぶなら…と言う消去法で
    今更F18も無いだろう…。Typhoonも開発当初から日本は蚊帳の外だし最近目立って欠陥出てきてるし
    有事の際はパーツ調達や融通する諸国が敵国挟んでだし…と仕方なくF-35に落ち着いたけれど…。
    運動性能がF-15を下回るから納得してないよね。

    • 筆者はF35を運動性能無くても戦える戦闘機だと言ってると思うのだけどね。

  3. まさか空自の戦闘機全てがF35になる訳ではあるまいな? なんかあった時に全機飛べないとかは困る。

    昔F15のエンジンがトラブると、内容によってはF15だけでなくF16も全て飛行停止になった。同じエンジンだったから。困った米軍は、別エンジン積んだF16作らせて採用した。さらにF22やF35加えて複数機種併用としてる。

    日本もF15とF2も改修続けて併用し続けて欲しい。F35の運動性がどうのとか懐古趣味とかでなく、リスク管理として。

    ちなみにSTOVL機導入は賛成。航空基地は真っ先に狙われるだろうから、これもリスク管理として。併せてスウェーデンみたいに機動力のある整備部隊も欲しいところ。