つまらない戦闘機F-35の大量調達が妥当な理由 いずも型への艦載だけじゃない目的も
F-35B導入の、もうひとつの「狙い」
新中期防では導入するF-35戦闘機42機のうち、18機を、F-35のSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)型の「F-35B」とする方針も示されています。
新防衛大綱と新中期防には、海上自衛隊のいずも型ヘリコプター搭載護衛艦へ、F-35Bの運用能力を与えるための改修も盛り込まれています。このためF-35Bは、事実上の空母となるいずも型の艦載機という側面だけが注目されていますが、実のところF-35Bの導入には、もうひとつの狙いがあります。
自民党の安全保障調査会は、政府が新防衛大綱を策定するにあたって、与党の立場から新防衛大綱をこのようなものにすべしとの提言をまとめて、2018年5月29日に発表しています。この提言で安全保障調査会は、有事の際に航空自衛隊の基地が先制攻撃を受けて戦闘機が破壊されたり、基地滑走路が使用できなくなったりする可能性を指摘し、その対策として、簡易型防護シェルターの導入や施設の地下化などと共に、F-35Bを導入するべきであるとの結論に達しています。
防衛省は平成31年度防衛予算の概算要求で、滑走路が爆弾などの攻撃で被害を受けた際の復旧能力向上に必要な器材の取得費を計上していますが、ミサイルなどを搭載した状態でも150m程度の滑走で離陸して、垂直着陸できるF-35Bであれば、最低限度の復旧工事で攻撃を受けた基地の滑走路からの出撃ができます。
アメリカの大手防衛メーカーであるレイセオンは「国際航空宇宙展2018東京」にて、F-35などの航空機を電波で誘導し、空母や強襲揚陸艦の飛行甲板へ自動的に着艦させる「JPALS(統合精密アプローチ・着艦システム)」の展示を行いましたが、同社は設備の整わない空港などでの自動着陸を想定した、地上型のJPALSの開発を進めていることも明らかにしています。このシステムを導入すれば、緊張度が高まった時、滑走路が短く、設備の整わない地方空港などにF-35Bを分散配置して、敵の先制攻撃を受けにくくするという運用も可能となります。
「ステルス戦闘機」や「空母艦載機」といった観点から語られることが多いF-35ですが、導入にはこれらの理由もあることを知った上で、導入の是非や導入数についての議論がなされるべきだと、筆者は思います。
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Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
ただ実際問題CTOL(モードで使う)機はまだしもSTOVL(モードで使う)機ではエンジンの排気で滑走路が”焼く”訳で、各地というほど使えるところがあるかと思うけどな。
西側諸国の機体で選ぶなら…と言う消去法で
今更F18も無いだろう…。Typhoonも開発当初から日本は蚊帳の外だし最近目立って欠陥出てきてるし
有事の際はパーツ調達や融通する諸国が敵国挟んでだし…と仕方なくF-35に落ち着いたけれど…。
運動性能がF-15を下回るから納得してないよね。
筆者はF35を運動性能無くても戦える戦闘機だと言ってると思うのだけどね。
まさか空自の戦闘機全てがF35になる訳ではあるまいな? なんかあった時に全機飛べないとかは困る。
昔F15のエンジンがトラブると、内容によってはF15だけでなくF16も全て飛行停止になった。同じエンジンだったから。困った米軍は、別エンジン積んだF16作らせて採用した。さらにF22やF35加えて複数機種併用としてる。
日本もF15とF2も改修続けて併用し続けて欲しい。F35の運動性がどうのとか懐古趣味とかでなく、リスク管理として。
ちなみにSTOVL機導入は賛成。航空基地は真っ先に狙われるだろうから、これもリスク管理として。併せてスウェーデンみたいに機動力のある整備部隊も欲しいところ。