異次元の「早さ」どう実現? スウェーデン戦闘機「グリペン」のひと味違う設計思想

コスパのもう1本の柱、「安さ」について

「グリペン」は東西冷戦終結直前に開発が始まり、90年代後期に実用化されました。スウェーデンでは一時期、臨時飛行場における訓練を止めましたが、約10年のブランクののち2015年に再開しています。

 また「グリペン」を原型に、大型化し大幅な性能向上を果たした、事実上の新型機である「グリペンE」が、まもなく「グリペン」の後継機として配備されようとしています。「グリペンE」もまた10分のターンアラウンドを可能とする、同じ哲学の元に設計されています。

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2016年5月にロールアウトした「グリペンE」戦闘機(画像:サーブ)。

 現代では、1日に何度も出撃しなくてはならない、全面戦争の危機はほとんど考えられなくなりつつありますが、扱いやすいメリットは、すなわちお金がかからないとも言い換えることができます。「グリペンE」における、製造単価から燃料、廃棄に至るまでに必要な経費「ライフサイクルコスト」は、1機あたり約100億円。航空自衛隊が擁する三菱F-2戦闘機のライフサイクルコストは、1機あたり370億円ですから、単純には比較できないにせよ、いかに破格であるがわかります。

 どこの国においても、防衛支出はとかく批判を受けやすい存在です。それを抑えつつ、本格的な航空戦力を整備することができる「グリペン」そして「グリペンE」は、スウェーデンのみならず中小国向けの戦闘機市場において、魅力的な選択肢となっています。

【了】

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コメント

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5件のコメント

  1. F4後継はグリペンE推しだったんだけど、選択肢にすら上がらなかったなー
    いや、F15orF2後継がF35って言うならそりゃそうだよねってなるんだけど。
    F4後継がF35だと、F15後継もF35だからF2以外全部F35にすんの?っていう。
    ハイローミックスどこ行ったん?と。

  2. このまま朽ちさせる事など無く性能を向上させて欲しい所だが

  3. 航空自衛隊は、スクラブルで、今こそ、ハイアンドローのローで、グリペン戦闘機を導入して、スクランブルにあてるべきでは?ステルス性の高い、高額戦闘機をスクランブルで消耗するのは、国力の消耗につながる、ライフサイクルコストは、F2戦闘機の370億円に対して、100億円とも言われている、有事には、二線級業務に充てればよい。

  4.  日本には、F35のような高級戦略戦闘機じゃなく、グリペンやハリアーのような汎用性の高い局地戦闘機が必要なんじゃないかと思います。
     政治的な体裁では敵の侵略を止めることは出来ません。

    • グリペンEもF-35Aより高くなってますし、ハリアーの後継はF-35B。

      仮に安くても保有台数や人員には限りがありますし、
      工具規格やマニュアルの言語、保守体制など総合的に考えると、
      よほどの事情がないかぎり米国製か国産でしょうね。