中部空港セントレア「2本目」のアクセス鉄道はできるか? コスト抑えられても残る課題

開港前からあった延伸構想

 こうしたことから名古屋市などは、あおなみ線の延伸を考えるようになりました。同市の廣澤一郎副市長は2018年9月、市議会で「2019年度早々に調査検討ができる組織が立ち上がるよう、積極的に県はじめ関係者に働きかけてまいります」と答弁。河村たかし市長も「この地域の産業力を落とさない上で極めて重要であると、そういうふうに思っております」と話しました。

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あおなみ線の列車(2005年6月、草町義和撮影)。

 あおなみ線をセントレアのアクセス鉄道として活用しようという動きは、最近になって始まったことではありません。

 愛知県はセントレアが構想段階だった1990年代から空港アクセス鉄道の検討を行い、1995(平成7)年2月に調査結果をまとめています。この調査では、名古屋~空港間の5ルートと、豊田市など三河方面から空港に向かう3ルートを検討。そのなかには、貨物線のJR西名古屋港線を活用する案も含まれていました。

 この西名古屋港線が、現在のあおなみ線。すでにある貨物線を旅客化するとともに、海底トンネルを建設して空港まで延伸するというものでした。

 ただ、各案の事業費(空港への連絡橋を除く)は、名鉄常滑線の延伸案が約200億円とされたのに対し、ほかの案は1000億円以上と試算。西名古屋港線の活用案は、旅客化の費用を除いても2100億から2700億円かかるとされました。このため、事業費が一番安い名鉄常滑線の延伸がセントレアの開港までに整備する路線として選ばれ、西名古屋港線は旅客化だけ行われることに。2005(平成17)年にあおなみ線として開業したのです。

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コメント

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6件のコメント

  1. 代替路線という視点からすれば、今は単線ですが、JR武豊線を終点武豊駅から小鈴谷まで西進させて南側から空港駅に進入させてはいかがか?
    新線部分は結構住宅地を避けて線を引けます。武豊線部分も需要に応じて部分複線化していけばよいと思う。
    あおなみ線は急行列車が走れるようになってないし、名鉄の線形も悪いので武豊線利用でも使い物になると思う。

    • 残念ながら天下のJR東海が「儲からないからうちはやりたくないけど誰かがお金を出して線路引いてくれたら運行はしてやらんでもない」というスタンスなので現時点では無理かと。
      そもそも既存の武豊線の改良をするなりしないと速度的にも85km/hで頭打ちですし。
      (変にケチってATS-PT入れたおかげでパターンぎりぎりの運転もできませんしね)

  2. いつも真っ先に運休するのは常滑~中部国際空港間なんだから、多額の費用で整備しても肝心のこの区間が共用になる乗り入れ案はやる意味がない。やるなら単独乗り入れは必須。
    まあその金で三河方面へ直結するルートを整備する方が効果は大きいと思うが。

  3. 逆に鉄道に執着しないのもありかもよ。
    愛知県は全部ではないが道幅も広いし、
    ここに欧州規格の3連節バスを高速度で走らせる。
    それでも無理となったら初めて鉄道計画という選択肢も。

  4. どちらかというとあおなみ線の経営難の責任を取りたくない愛知県と名古屋市の窮余の策と言った感じでしょうか。
    (夢洲の失敗を万博とIRでうやむやにしたい大阪と一緒かな?)

    交通アクセスの2重化ならそれなりに経営が成り立つように仕組まないといけないのに起点が名古屋駅では名鉄と共倒れするのがオチでしょう。
    それ以前に道路網が2重化ほぼ確定状態(知多半島道路+西知多道路)なのにモータリゼションの進んだ愛知でうまく行くとはとても…?
    メインのインバウンドだってバス移動メインですし。

  5. むしろJR武豊線の半田辺りから分岐して知多半島を横断する形の新線を名鉄空港線と結ぶ形にした方がサブアクセスとして有効かと(関空や成田がこのパターンで成功してるし)