外環道や圏央道は「必要なコンクリート」 環状道路を整備する意義とは

「圏央道×リニア」で価値観が変わる?

「たとえば5、6年前は、工場の立地について『山梨だけは避けたほうがいい』というのが業界の常識でした。東京方面で発生する渋滞で、物流計画が成り立たなかったからですが、それがいまや見直されています」と寺島さんは話します。圏央道の整備により、八王子JCTから北は関越道経由で新潟方面へ、南は横須賀方面へと、日本海側と太平洋側の主要港湾へ抜けるルートができたためだそうです。

 貿易面において、成長著しい「アジアのダイナミズムを吸収する」ためにも、太平洋側と日本海側を戦略的に結び付ける圏央道の存在に物流関係者も注目しているといいます。関東地方整備局長の石原康弘さんによると、圏央道の沿線では大型物流施設の立地も加速しており、たとえば茨城県五霞町では、工業地の地価上昇率で18%と全国1位の伸び率を記録しているそうです。

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圏央道沿線の相模原市には今後、リニア中央新幹線の駅もできる(2017年8月、乗りものニュース編集部撮影)。

 加えて、2027年にリニア中央新幹線が開業すれば、圏央道の沿線である神奈川県相模原市は品川駅から10数分、そこからさらに甲府市までも10数分で結ばれ、人の動きが大きく変化。そのなかで、物流と人の動き双方を担う圏央道がさらに存在感を増すと、寺島さんは指摘します。「たとえば品川で1億円のマンションが、相模原ならば半額です。10数分で行けるところの物件が半額になるのですから、ライフスタイルも大きく変わるでしょう」といいます。

【地図】残る区間いつ開通? 首都圏の環状道路

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