外環道や圏央道は「必要なコンクリート」 環状道路を整備する意義とは

外環道は「PR不足」

 一方、2018年6月に「千葉区間」が開通した外環道については、関東地方整備局が2019年1月に、「東北道と東関東道を行き来する交通の約8割が、都心経由から外環道へ転換」「首都高の中央環状線より内側の渋滞損失時間が約3割減少」といった整備効果を発表しています。

 シンポジウムに登壇した、ちばぎん総合研究所 専務取締役の松永哲也さんによると、千葉県民が集中している常磐道と東関道道のあいだが高速道路でつながり、「松戸から東京ディズニーリゾートまで、従来の半分以下の30分で行けるようになった」といった速達性や定時性の向上、周辺道路の渋滞緩和など、大きな効果を生んでいるとのこと。同じく登壇者のひとりで、自らも千葉県市川市の外環道近くに住むリクルートライフスタイル じゃらんリサーチセンターの森戸香奈子さんは、たとえば市川市から見て、千葉県北部の野田市や埼玉県内などへ「近場」の定義が広がったと話します。

 その一方で森戸さんは、外環道の千葉区間や並行する一般道(国道298号)などで道路の利便性が向上したことが「地元の人以外にあまり知られていないのでは」と指摘。圏央道の開通時を振り返っても、その外側に位置する観光地の盛り上がり期待されたものの、PRが不足しているといいます。

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パネルディスカッションの様子(画像:産経新聞社 外環道シンポジウム事務局)。

「そこへ行くのにどれだけの時間がかかっていたところ、(圏央道や外環道といった)新しい道路の開通でどれだけ近くなるのか、観光地においては、道路とセットでPRするのがいいでしょう」(じゃらんリサーチセンター 森戸さん)

 なお、関東地方整備局長の石原さんによると、現在は外環道「東名~関越」区間の建設が進んでいるほか、圏央道の未開通区間である神奈川県藤沢市から横浜市にかけての区間は2020年度、千葉県内の松尾横芝JCT~大栄JCT間は2024年度(用地買収が順調に進んだ場合)に開通予定。また圏央道 久喜白岡JCT~大栄JCT間の4車線化も決定しており、2024年までに同区間の全てで完成の見込みとしています。

【了】

【地図】残る区間いつ開通? 首都圏の環状道路

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