【「平成」と乗りもの】変化した「乗りものと女性」の関係 増えた女性現場職員、その背景といま

「鉄子」に「空美」 開かれた乗り物業界への道

 いま、女性の活躍推進と同時並行で、社内や社員の意識改革も進んでいます。静岡鉄道では、「10年ほど前はどちらかといえば『男性の会社』でしたが、各部署に女性がいることが当たり前の風景となり、女性管理職も増えています。結婚や出産を機に辞める人はほぼゼロになっただけでなく、ひとりひとりが効率的な業務を意識するようになり、時間外労働も全社的に減りました」とのこと。

 JAL(日本航空)では2023年度までに女性管理職比率を20%にすることを目指し、働き方に対する「意識」と「仕組み」の両面から取り組みを進めているといいます。「意識」面では、全グループ社員を対象としたフォーラムやセミナーなどを実施し、多様性を受け入れる「風土の醸成」に取り組んでいるとのこと。さらに、会社外で仕事ができる環境を整え、柔軟に働けるようにすることで、育児や介護などのライフイベントを抱えている社員にとっても、より働きやすい「風土」ができると考えているそうです。

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JALは飛行機の世界で働きたい中高生向けに、その仕事を説明するイベント「空育」を定期的に実施。撮影した回では、女子が参加者の6割を占めた(2018年8月、恵 知仁撮影)。

 他方、「平成」のあいだに、趣味的にも鉄道好きの女性が「鉄子」、飛行機好きの女性が「空美」と呼ばれるようになるなど、男性のものと思われていた乗り物趣味が、女性のものとしても市民権を得るようになっています。

「私立鉄道学校」として1897(明治30)年に開校し、現在は普通科と運輸科を持つ岩倉高等学校(東京都台東区)の大日方 樹教諭によると、近年では「鉄道が好きだから」という理由のほか、採用人数が増えたことや、規模が大きく安定しており、福利厚生も充実している企業が多いことから、就職に鉄道会社を志望する女子も増えている傾向があるとのこと。

 東急電鉄では、2001(平成13)年度入社の女性鉄道専門職1期生が、いまや駅長に次ぐポストの助役に就任。JALでは1997(平成9)年に日本初の女性パイロット、2010(平成22)年には日本初の女性機長が誕生し、現在はANAでも多くの女性パイロットが在籍しています。船の世界でも、日本郵船で2017年、137年の歴史上初となる女性船長が誕生するなど、後輩の目標となる立場に女性が続々と登場しており、乗り物の世界における女性の活躍は「令和」の時代、さらに広がりそうです。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. うちの母親は昭和30年代、東京都交通局の職員でいわゆる都バスの車掌でした。女性用制服もあったし女性の仕事でしたよ。ワンマン化でその職業もなくなりましたが。

  2. ひなまつりフライト、素敵な取り組みだと思いました。
    航空業界は男女の活躍がずっと昔からあるものの、男性のCAや女性の機長は珍しく捉えられてしまう時代が長かったように思います。またダイバーシティの意味、外資系企業レベルで東急が理解してきてるように感じ、それも微笑ましいなと感じました。転職したいくらいです。