強みは速さ、戦艦「金剛」の一部始終 30年以上戦い抜いた旧海軍最後の「帰国子女」

戦艦「金剛」は、その同型艦と共に「高速戦艦」とも呼ばれ、ほかの戦艦よりも一段上の速力が特徴です。ゆえに空母を中心とする機動部隊の随伴も務めるなど、太平洋戦争中も出番の多い戦艦でした。「金剛」の一部始終を追います。

「金剛」最期の戦い

 しかし、この「レイテ沖海戦」が「金剛」の最後の戦いとなりました。1944(昭和19)年11月、フィリピンやブルネイの港を転々とした後に日本本土への帰還が決まった「金剛」は、「大和」や「長門」と共に日本へと向かいますが、その途中の台湾沖でアメリカ潜水艦の魚雷攻撃を受けたのです。

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1944年6月、「マリアナ沖海戦」でアメリカ海軍の空母艦載機から猛攻を受ける「金剛」(画像:アメリカ海軍)。

 この時命中したのは、左舷艦首と2番煙突下の缶室の2か所。しかし戦艦の場合、これぐらいは致命的ではなく、命中後も普通に航行ができたため、乗員の誰もが「魚雷2本くらいでは沈むまい」と思っていたようです。

 ところが「金剛」は、この時すでに艦齢30数年。経年劣化により、リベットのあいだからの浸水や「レイテ沖海戦」で受けた小さな傷からの浸水もかなり目立っており、徐々に破損個所は広がっていきました。

 船体は徐々に傾き、魚雷命中からおよそ2時間後、機関が停止、総員退去命令が出されるもすでに遅く、その10分後に「金剛」は転覆しました。被雷から2時間もの時間があったにもかかわらず、損害を軽視したことで避難は遅れ、艦長以下1000人以上の乗組員が、艦と運命を共にしました。

 ちなみに「金剛」は日本の戦艦で唯一、潜水艦による雷撃で沈んだ艦であるとされています。これは世界的に見ても珍しく、潜水艦に撃沈された戦艦は「金剛」を含めて3隻(残り2隻はイギリス艦)しかいないといいます。

 とはいえ、「金剛」の最期は、潜水艦による攻撃、というよりは「30年以上にわたる第一線での活躍による老朽化」というほうが正しい気がします。老体に鞭打ちながらも最期まで全力を出して力尽きたのですから、大して見せ場がなかったほかの日本戦艦と比べれば、「金剛」は軍艦としての役割をまっとうできた、といえるのではないでしょうか。

【了】

【写真】1930年ごろ撮影、第1次改装後の戦艦「金剛」

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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コメント

1件のコメント

  1. 記事タイトルに「帰国子女」とありますが、イギリスで建造された後に日本にやって来た軍艦ですので、後に日本国籍を取得(帰化)したというのが正しいと思われます。(なお、かの軍艦三笠も同じ経緯をたどっています)

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