F-35戦闘機に背を向ける西側の国々、それぞれの事情 買わない理由はどこにあるのか

ドイツの選択、その背景

 前にも述べたように、F-35は開発パートナー国で製造が分担されています。日本やイタリアでは、機体の最終組み立ては認められていますが、導入国が部品の製造から最終組み立てまでを一貫して国内で行なう、いわゆるライセンス生産は認められていません。

 そして、前述のドイツとフランスが共同開発する新戦闘機は、2040年代の実用化を目標としています。つまり、ドイツが「トーネードIDS」の後継としてF-35Aを導入した場合、同国の航空防衛産業は、ユーロファイターの生産終了と同時に仕事を失い、新戦闘機の製造基盤を喪失してしまう可能性があるというわけです。新戦闘機を共同開発するフランスもそれを懸念していました。

 このためドイツ政府は、F-35Aの導入を強く希望していた空軍参謀総長を更迭して、同機を「トーネードIDS」後継機の候補から外し、日本への提案事例などからライセンス生産が認められる可能性が高いF/A-18E/Fと、ユーロファイターのいずれかを後継機として充てることになりました。

 ドイツとフランスの新戦闘機計画にはスペインも参加を決定しています。スペインもF-35計画に参加せず、現時点では導入もしていませんが、スペイン海軍の強襲揚陸艦「ファン・カルロス1世」に搭載されている垂直離着陸戦闘機AV-8B「ハリアーII」の後継機として、F-35Bを導入する可能性が浮上しています。

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スペイン海軍のAV-8B「ハリアーII」。F-35Bによる更新が取りざたされている(竹内 修撮影)。

 これまで見てきたフランス、ドイツ、スペインはそもそもF-35の開発計画に参加していませんでしたが、開発計画参加国だったにも関わらず、いまだ導入を決定していないのがカナダです。

 カナダは2008(平成20)年、同国空軍が運用するF/A-18A/B「ホーネット」戦闘機の後継機として、65機のF-35Aを導入すると決定しましたが、2012(平成24)年4月にカナダの会計検査院が「最初からF-35Aの導入という結論ありきで機種選定が行われた」との指摘をしたことから、当時の保守党政権はこれを一旦保留としました。

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コメント

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2件のコメント

  1. どことなく下町文化が広がってる感じ

  2. ウィー