F-35戦闘機に背を向ける西側の国々、それぞれの事情 買わない理由はどこにあるのか
カナダ衝撃の白紙撤回、その本当のところ
結論ありきで機種選定をしたと指摘された保守党政権に対しては、カナダ国民からの批判が大きく、2015(平成27)年に行われた総選挙では、F/A-18A/Bの後継機種選定を最初からやり直すことを公約に掲げた自由党が勝利しました。同党の党首で総選挙後に首相へ就任したジャスティン・トルドー首相は、公約通りF-35Aの導入を白紙撤回し、そしてくだんの機種選定は改めて最初から行われることになりました。
一方でカナダ政府は新戦闘機に関し、アメリカ企業が受注することを困難にする案を検討しているとも報じられました。これは、ボーイングがカナダの航空機メーカー、ボンバルディアに対し、カナダ政府からの補助金によって旅客機を不当に安く販売していると提訴したことを受けてのもので、カナダに不利益を与えた国の企業、すなわちアメリカ企業への対抗措置というわけです。
しかし2019年5月上旬に、カナダの新聞「オタワ・シチズン」など複数のメディアは、カナダ政府が態度を軟化させたと報じており、F-35Aが新戦闘機に導入されるとの見方が強くなっています。
ここまで述べてきたように、現時点でF-35を導入していない国の事情はすべて異なりますが、一部で聞かれるような「GAO(アメリカ会計検査院)が指摘しているF-35の問題点を重く見て導入しなかった」という理由によるものではない、という点においては共通しています。
F-35に限らず、国内外のすべての防衛装備品は、程度の差こそあれ問題を抱えていますが、その詳細が明らかにされる事は多くありません。GAOは毎年、その時点でF-35を含めた主要な防衛装備品が抱えている問題点を発表していますが、この発表がなされているからこそ、納税者は前年度より問題が減少しているのか増加しているのか、どんな問題が残されているのかを知り、F-35の導入の是非を考えて議論することができます。
税金を投じる防衛装備品の導入の是非を考えて議論するのは、民主主義国家にとって必要なことだと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思いますし、議論に必要な情報が開示されているという意味において、F-35は民主主義国家に適した戦闘機であるとも思います。
【了】
どことなく下町文化が広がってる感じ
ウィー