赤字鉄道部門 紀州鉄道なぜ存続させるか?ホテルリゾートで知られる企業 社長に聞いた
「鉄道そのもの」が観光資源
中川社長「鉄道ファンの方はアニメ系、二次元系がお好きですね。『鉄道むすめ』やラッピング列車とか、鉄道会社間で互いにノウハウを共有して広まっています。その輪のなかに紀州鉄道も参加していこうと。アイデアをいただくだけではなくて、こちらからも提案したい。民鉄各社と観光振興でまとまっていけたらいいと思います。地方鉄道会社同士は連携していて、鉄道車両の融通もしています。たとえば一畑電車さんに行くと、まるで古い車両の博物館のようですね。その車両を見に行くことも観光だし、鉄道そのものが観光資源ですから」
杉山「そういえば、紀州鉄道も元・信楽高原鐵道の車両を運行していますが、その縁で信楽高原鐵道沿線の人が来てくれるという効果もありますね。……社長、もしかして鉄道が大好きなのでは」
中川社長「いえいえ。鉄道に関心はありますけど、『鉄ちゃん』ではないですよ。撮り鉄でも乗り鉄でもないです。個人的にあえて言うと、踏切が好きですね。住んでいる近くにすごい踏切があって……。踏切のなかまで分岐器がかかっていて……。これって珍しいですよね」
杉山(「設備鉄」だよ、この社長さん……)
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インタビューの冒頭で、鉄道を残してくださってありがとうございますと伝えたところ、お礼を言われるまでもない、という反応でした。紀州鉄道が鉄道を残すなんて当然のことをしているだけ、という雰囲気でした。
ちなみに紀伊半島の小さな私鉄、紀州鉄道には、2.7kmの区間に18か所の踏切があります。そのうち、警報器と遮断機がない「第4種踏切」は2か所あるとのこと。「設備鉄」には人気だそうです。
【了】
Writer: 杉山淳一(鉄道ライター)
乗り鉄。書き鉄。ゲーム鉄。某出版社でゲーム雑誌の広告営業職を経て独立。PCカタログ制作、PC関連雑誌デスクを経験したのち、ネットメディアなどで鉄道関係のニュース、コラムを執筆。国内の鉄道路線踏破率は93パーセント。著書に『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。日本全国列車旅、達人のとっておき33選』(幻冬舎刊)など。
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